お客さんは障害者。そんな専門デリヘルでの経験が豊富な著者が書く、さまざまな男性との出会い
第28回 『夏と車椅子』
こんにちは。桂樹碧です。梅雨も開けて、夏本番ですね。喉にくる夏風邪が流行っているようですので、みなさん気をつけてくださいね。
夏の暑い季節は、脊損頸損の人たちにとっては、私たち以上に苦しい季節です。その日のお客様は脊損の方。とにかく暑い真夏の日でした。待ち合わせ場所の公園まで店長の車で送ってもらって、お客様と無事に合流。
「ちょっと離れた所のラブホテルなんだ。暑い中ごめんね、あけみちゃん」
「いえ。大丈夫ですよ」
お客様は車椅子。以前書いたように、車椅子の方と歩くときは、後ろから押すのは味気ないので、肩に手をかけて並んで歩きます。お客様の顔からは、滝のような汗。車椅子の高さでは、真夏の日差しで焼けたアスファルトの反射熱をモロに受けてしまいます。
「あけみちゃん、ちょっと休憩させて。少し体冷やさないとマズいわ」
お客様が苦しそうに言います。熱中症のような状態になってしまいました。
「バッグの中にヒエロン(叩くと冷たくなる物。ホッカイロの夏バージョンと説明すれば分かるでしょうか?)が入っているから出して。それとペットボトルの水」
車椅子の背もたれにひっかけてある、バッグの中のヒエロンとペットボトルを取り出します。
「ヒエロン、強く叩いて冷たくして。それを首に当てて欲しいんだけど」
お客様にペットボトルを渡して、力一杯ヒエロンを叩いて冷たくします。すぐに冷たくなったので、お客様の首、左右を冷やしました。脊髄頸椎損傷の場合、麻痺しているところは発汗しません。このお客様の場合、脊損でも上部損傷だったので、胸の辺りから下が麻痺していました。
「ふー。これだから夏は嫌いなんだよね。体温調整が効かないからさー」
顔から吹き出る汗をタオルで拭いながら、お客様が言いました。
「アスファルトの熱もダイレクトに来ますよね」
「そうなんだよねー。今日、夜は用事があるから昼間にしたんだけど、別の日の夜にすればよかったよー。ヒエロン、タオルで首に巻いて」
言われた通り、首にヒエロンを貼る形でタオルを巻きました。
「それじゃ、冷房の効いているであろうホテルに行きますか」
そこからまた、真夏の日差しを浴びながらホテルへ並んで歩きます。普通のラブホでしたが、お客様が車椅子を扱うのが上手で、何も問題なく部屋に入れました。
「あー! 冷房最高!」
そう言ってお客様は首に巻いたタオルを取りました。私は店長に電話を入れて、プレイ開始です。
「ここ、お風呂広いから、一緒に入ろうよ。温度低めで汗流そう」
「はい。お風呂で楽しみましょう」
ブクブクの泡風呂にして、2人で入浴タイム。脊損の人は勃起や射精がほとんどできないので、ベッドやお風呂でフェラ無しでプレイすることが多かったです。
「あけみちゃん、乳首にピアス入れているけど痛く無いの?」
胸を揉まれながら言われました。
「痛く無いですよ。入れるときは『ギャー!!』って悲鳴あげて、色気がない、ってサディストのピアス屋さんに怒られるぐらい、痛かったですけど」
「シルバー?」
「いえ、チタンです。アレルギーおこりにくいので」
「じゃ、俺とおそろいだね」
「え?」
「医療用のチタンのボルトとプレートが背中に入っているからさ」
骨折した骨をとめるのに、埋め込んでいるそうです。お風呂でじゃれ合って、ディープキスして、体を愛撫されて……そんな感じでプレイは進んでいきました。
「髪洗いたいなー」
「私が洗いますよ、シャンプーとリンス取って来ます」
お風呂からいったん出て、シャンプーとリンス、シャワーを持ち込んで、お客様の髪の毛を洗いました。
「人に髪の毛洗ってもらうのって気持ちいいよね」
「頭って、性感帯があるから気持ちいいらしいですよ」
「ふーん、そうなんだ」
シャワーでリンスを流して終了。
「泡風呂のお湯をいったん流しちゃって、新しくお湯いれてもらえないかな? 泡だらけのままじゃ、車椅子に移れないし、お湯が完全になくなると、浮力使って車椅子に移動できないからさ」
これが、湯船から車椅子に移るテクニック。
私はお湯の栓を抜いて泡風呂を流し、シャワーでお客様の体の泡を流しました。そしてお湯をまた入れます。バスタオルを車椅子にひくと、お客様がお風呂から車椅子に移動してきました。ここのお風呂は、車椅子の座面と同じぐらいの高さなので、介助しなくても大丈夫でした。
お風呂からあがって、ビールを飲みながら、雑談をしているうちに、携帯に終了のコールが鳴りました。
「今日はありがとう。ホテル入る前に暑さでやられちゃって迷惑かけたね」
「いえ、こちらこそ勉強になりました」
脊損頸損は歩けないだけではなく、体温調整が効かなくなったり、車椅子の高さだと暑さがひどくなるということが勉強になったお仕事でした。
それでは、また次回♪
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