

- 東京都 あみ 29歳
- 私は、東北の田舎で生まれ育ちました。高校卒業後、地元で職探しをしたんですが全く見つからず、幼馴染の男の子(仮名タケシ)と一緒に毎晩悩みを語り合っていました。
タケシは同い年で、小さい頃から兄妹のように育ったので、唯一自分を出せる相手でした。語り合っているうちに、「狭い世界で終わりたくない!」と熱くなってきて、思い切って二人で東京へ出る決意をしました。
最初は親も反対しましたが、実際職がなく悩んでいる私の姿を見ていたし、「タケシも一緒なら」と最終的には承諾してくれました。二人で職探しをする毎日は大変だったけど、東京は珍しいものばかりで全然苦じゃありませんでした。
たぶん一人だったら、都会の華やかさに疎外感を抱いたかもしれないけど、タケシと一緒だったから気になる店に一緒に行ったりして楽しかったんです。ところがだんだん貯金が無くなってきて、焦った私はタケシに内緒で風俗を始めました。
ちょうどそこへ東日本大震災がおこって。幸い地元は内地の方だったので津波の被害はなかったんですが、タケシはそれを機に地元へ帰って実家の農家を継ぐことになりました。
私は相変わらず風俗で働く毎日だったんですが、地元の友達の結婚式に出席する機会があって久しぶりに帰省することに。そしたら、タケシが引き締まった体と焼けた肌でめっちゃカッコよくなっていたんです!
「今度、作った野菜をカフェとコラボ商品にしてイベントで販売するんだ。親も歳だから安心させたくて頑張ってる」と、考え方も驚くほどしっかりしていて。
いつまでもフラフラしている自分が情けなくなりました。今まで一度も男として意識したことがなかったのに、知らない人みたいでドキドキしました。
「今日の夜空いてる? そのカフェにメシ食いに行かない?」と誘われた時は思わず舞い上がりました。
(農家の嫁になるのも悪くないな…地元に戻ってタケシと結婚しようかな)
と、思っていた矢先に「実は今度結婚するんだ。彼女紹介したいから一緒に行こうよ。」と言われ頭が真っ白に。
その時は感情を押し殺して二人を祝福し、楽しく食事するふりをしましたが、東京に戻ったその足で東京駅近くのビルの屋上から夜景を見てマジで泣きました。
なんの涙なのかよくわからないけど、たぶん、なにもしてこなかった自分の将来への不安がそうさせたんだと思います。それから数年経っても風俗にいますが、いい加減今年卒業しようと思います!