

- 東京都 ハルッチ 28歳
- 何年か前の話になります。当時、私は指名客も多くランキングも上位、店の看板でした。
そこへ新人が入ってきたんですが、待機室で美味しそうなチーズケーキを「よかったらハルッチさん食べてください♥」と差し出してきました。
「挨拶代わりにくれたのかな!? 律儀な子だな?」と感心して食べてみたら美味しいのなんの。「どこの店の??」と聞いたら、なんと彼女の手作りでした。
私はお菓子作りどころか卵焼きも満足につくれないので、おもわず褒め称えすぎてしまったんですよね……。「こんなの作れるなんてすごいね!! 他にもなにか作れるの!?」なんて。そしたら、彼女喜んじゃって、毎回お菓子作って持ってきてくれるようになったんですよ。
嬉しかったけどさすがに続くと申し訳なくなってきて、何度か断ったりもしたんですが、「好きで作ってることなんで気にしないでください。食べてもらえるのが一番嬉しい!」と、その後も変わらず持ってきてくれるので、遠慮なく食べていたんです。
胃袋って不思議ですね……。
「甘いの食べたからごはんは控えよう」って思えればいいのに、
「甘いの食べたから帰りにしょっぱいラーメン食べたいな」になっちゃったんですよ。
「餃子食べたいな」「チャーハン食べたいな」になっちゃったんですよ!
当然、それを続けたせいでここに書くのも嫌になるくらい太りまくってしまって、指名客も離れ人気も落ちる一方。それに反して、なぜかその子の人気はどんどんあがっていくんです。
私は、精神的にも落ち込むようになり店を辞めました。
辞めた後で他の人から聞いて知ったんですが、その子、ハダカエプロンや水着姿でお菓子を作ってる様子を、お店のHPの写メ日記に毎回のせていたらしいんです。「お菓子作るの好きってわけじゃないけど、男受けすると思って♥」と言っていたそうです。
なるほど、どうりで人気が出たわけだ。
じゃあなにかい?
私は、アンタの女子力アピールに利用されていたってわけかい!?
と、無性に腹が立ちました。
腹は立つけど、正直あのチーズケーキをまた食べたいと思っている自分もいたりします……。
悔しいけど今はぽっちゃり系のお店で頑張っています!