
- 本当にあった私の体験談 VOL.305
- 私に、愛が芽生えた瞬間
- 東京都 夕暮 21歳
- 私が育った環境は最悪でした。実の母と父は離婚し、私は父の方に引き取られたのですが、父は私が小学校二年のときに再婚。この再婚相手のママハハは私に対してイジメのように毎日ツラくあたってきました。
しかも、父親自身が元々借金がある人だったこともあって、父親とママハハの二人もしょっちゅうケンカをしていました。小さい頃は、周りの子たちがすごく羨ましくて「どうしてウチは普通じゃないのかな」とよく考えてました。
普通、子供のときならなおさら“親が好き”という感情があると思うのですが、私には全くそれがなかったです。
今思えば、父親もママハハも借金やら仕事やらでツラかったのかもしれないし、私にあたることで気を紛らわせていたのかもしれないけれど、本当に何一つ実家に良い思い出がありません。この最悪な家から出たのは中学を卒業してすぐのことです。
幼いというだけで需要はあるもので、私も小学校生の頃には、何かエッチなことをすれば大人の男の人がお金をくれるんだということが分かっていました。
でも、グレて本格的に援交に走るといったって、周りの子たちのように化粧品を買ったりしてキレイにできない私は失敗することも多かった。だけどそうやって会った人の中に、定期的に会う関係になった人がいて、私はその人と暮らすことになりました。
ママハハに「卒業後は付き合ってる人と暮らそうと思う」と言うと、ママハハは「ふーん」とだけ言って特に何も聞かれず、そのまま家を出ました。相手の男の人とはそれから5年間暮らしました。
最後まで結婚という話にはならなかったものの、出会った頃、まだ私はとても若かったし、籍を入れるという意識はなかったけれど、奥さんのような立場にいたと思います。すごく愛しているとかじゃなくても、殴られることもない、怒鳴られることもない、平和な暮らしでした。
その生活が5年で終わったのは突然のことです。私が外から帰ってきたら、出かける前にはなかった封筒がテーブルの上に置かれていて、現金と彼からの手紙でした。
手紙の内容は簡潔に言うと「事情は複雑で伝えられないけれど、色々な問題があって一緒に暮らすことができなくなった。今までありがとう。ここのアパートはあと3ヶ月で出ること。その分の家賃は払ってある。少ないけどこの封筒の中のお金は、仕事や次のアパートを探す足しにして」というものです。
不思議とこのとき、私は全く悲しくありませんでした。
むしろ感謝の気持ちが大きくて、今までなんとなくここまで来てしまったけど、もしあのままちょくちょく援交してお金を稼ぐ、という生活が続いていたら、私は今頃病気にかかっていたかもしれないし、かといって年齢的に家を出て一人で生活していくのは無理だった……。
そういうことを考えていたら、あの人がいなかったら私はどうなっていたんだろう?と、初めて愛情に近い感情が湧いたんです。
今、私は自分の借金はないけれど、ソープで働いています。仕事は意外に順調! というか昔の実家での暮らしに比べたら何だってマシと思えます。今後はとにかくお金を貯めて、年をとっても暮らしていけるよう、何かお店でも持つ、というのが目標です。
今……唯一にして最大の心配は、実家の父母が今頃になって現れて、金の無心をしてきたら?ってことなんですが、この世界の女の子の中では肩代わりさせられてないだけ自分ってラッキーかなと思ってます。
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- らぶぼにーた編集部
希薄な家族関係、若年層の援交とそれに対する需要。とても現代的なお話でした。でも、夕暮さんがくれたメールの端々には希望が見出せます。体験談が掲載された夕暮さんには商品券をお贈りします。
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頑張れ
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