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- 東京都 舟和 32歳
昔は企画もののAV女優としてたくさんのAVに出てた私。
ですが、数をこなすにつれて仕事も減り、ギャラも減り、ビデオに出るのにもうんざりしてきていたので、3年前に足を洗いました。
けど、AV関係者の友達はたくさんできて、交流は続いていました。
そんなある日、知り合いのスカウトマンからある話を持ちかけられたのです。
「あのさ、舟和ちゃんの部屋をさ、貸してほしいのよ。素人モノの企画なんだけど、女の子の部屋を使いたいんだよね」
聞けば私の家は立地も良く、撮影場所には最適だそうです。ギャラは1時間で1万。まあ、お小遣い稼ぎとしてはいいかなー、と思って引き受ける事にしました。
撮影前日、そのスカウトマンが私の部屋に来て、言いました。
「うーん。なんか、若い子の部屋って感じじゃないなー。そもそも若い子の部屋に芋ようかんはないでしょ」
自分から頼んどいて、ずいぶんと勝手ですよね。そもそも三十路の私が十代の子みたいな部屋に住めないっつーの!
しかし、それでもお人好しの私は、近所の雑貨屋や100均を回り、若い子っぽい小物や布を購入。生活感の出ている所は布で隠し、小物を配置し、まあ、ギリで若い子の部屋っぽい感じにはなりました。
翌日、撮影隊が私の部屋に到着。「撮影が終わるまで席を外しておいてください」と言われた私は部屋を追い出され、近所のコンビニで3時間も待ちました。
そして撮影が終わり、私が部屋に戻ると、撮影隊は帰っていきました。一応は片付けて帰っていきましたが、シーツは汗でしっとりしていて、大変不快でした。
しかし、それからというもの、私の元にはひっきりなしに部屋の予約が入るようになりました。2回目以降はスタッフが小道具を用意してくれたので、私はする事がなく、楽で楽で仕方ありません。
お金もドンドン入ってきて、私はAVをやっていた頃とほとんど変わらない収入を得るまでになったのです。まったく何がどう転ぶか分かりません。まさにこの世の春でした。
けれど、一回だけ「こんな仕事やんなきゃ良かったー」と思った事があります。それは、撮影隊が私の部屋で撮影をしている時、田舎の両親がアポ無しで私の部屋を訪ね、おもいっきり本番してる現場を目撃してしまったのです。その後、私は両親に呼び出され、こっぴどく叱られました。
母親は帰り際、「でも、あれを見た時、あんたが撮影してんのかと思ったわよ。お母さん、あんたにあんな事されたら生きていけないわよ」と言ってました。「あははー。そんな訳ないでしょー」と返した私ですが、生きた心地がしませんでした……。