
- 本当にあった私の体験談 VOL.132
- 彼は私との約束を果たすために、思い切りバットを振りぬいた
- 神奈川県 響 26歳
夏になると思い出すお客さんがいます。彼と出会ったのは2年前、物凄く暑い夏の日でした。
その日の最初についたお客さんが彼だったのですが、髪は坊主で肌の色は真っ黒で、口の周りには無精ヒゲがはえていました。
とても暑い日なのに中年のオジサンが着るようなくすんだ色の厚手のジャケットを着た彼は、明らかに変でした。
ソープは初めてだという彼にいつも通りのサービスをして、私は尋ねてみました。
「ねぇ、高校生でしょ?」
「え?いや、違いますよ」
そうとぼける彼でしたが、ちょっと詰め寄るとすぐに白状しました。
「ヤバいですかねー?」
「うん。ヤバいよ。高校生なのにこんなとこに来ちゃダメでしょ」
「ごめんなさい。どうしても、あの、してみたくて」
照れて顔を真っ赤にする彼を見て、私はとても可愛いなぁ、と思いました。
「今日は特別ね。それにしても、凄い色が黒いね。何かスポーツしてるの?」
「あ、はい。自分、野球やってるんです」
「へー。私、野球好きだよ。高校時代に野球部のマネージャーやってたし」
「マジっすか?これから予選が始まるんですよ」
「ああ、そんな季節だね。懐かしいなぁ」
「じゃあ、試合、観に来てくださいよ!」
「ええ!?」
無邪気な彼は、私に学校名を教えると、どこの球場で試合が行われるかを教えてくれました。
「うふふ。じゃあ、予定が合ったら行くね」
「予定が合ったら来てください!響さんが来てくれたら、俺、ヒット打ちますよ」
「ヒットじゃなくてホームランが見たいなぁ」
「ほ、ホームランっすか?打った事ないですよ、俺」
「打ってくれるって約束しないと観に行かないよ」
「打ちます!絶対打ちます!」
そんな会話をしているうちに時間がきて、彼は帰っていきました。
1週間後、彼が教えてくれた試合の日になりました。
最初は試合を観に行く気なんて全くなかったのですが、私が観に来る事を期待して帰っていった彼の顔を思い出すと、行ってあげなくちゃかわいそうという気持ちになり、私はわざわざ電車を乗り継いで炎天下の球場に行きました。
試合が始まると、彼の姿はすぐに見つかりました。6番サードでの出場。試合はチームも彼自身もいい所がなく、敗戦濃厚で彼は4度目の打席に立ちました。
ここで彼が打った所で試合は何も変わりません。けど、彼は懸命にバットを振り、ジャストミートした打球はレフトスタンドへ……は、少し届かず、フェンス直撃の2ベースヒット。2塁ベース上に立った彼は、少し悔しそうに見えました。
結局試合はそのまま終わり、彼の高校は大敗。スタンドに向けて挨拶をする彼の目には涙が光っていました。
一旦ベンチに引き上げようとした彼ですが、すぐグラウンドに戻って来て、両手を合わせてスタンドにいる私に頭を下げました。もちろん何て言ってたのかは分かりませんけど、多分「ごめんなさい」って言ってたんだと思います。
その後、私は働いていたお店を辞めてしまい、彼に会う事は無かったのですが、夏が来るといつも彼の事を思い出します。負けはしたけど全力を尽くしてプレイをした彼の姿を思い出すと、私も頑張らなきゃなという気持ちになるんです。
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