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人間コク宝 まんが道
- 【著者】吉田豪
- プロインタビュアー、吉田豪のインタビュー集『人間コク宝』シリーズ最新作。17人の漫画家から、幸せでなった青春時代や暗い童貞喪失話など、その人自身や作風に反映される“こじらせ話”を引き出す。小林よしのりや佐藤秀峰というメジャーどころから、浅野いにお、 福満しげゆきなどのサブカル方面まで多様なインタビューを収録。
ヤバいと思ったら謝っちゃう
こんにちはー、甘宮あまみです。先日、お客さんとの会話について同僚の子と話していて、なるほど! と感心したことをひとつ。私は、自分でも「この会話盛り上がってないなー」と感じていても、なんとなく会話が一段落するまで引っ張っちゃうんですよ。
それで、表情には出さなくても、心では「こいつ時短か……」と疑ってるお客さんもいると思うんですが、私はそんなつもりはなくて、これはもう性格なんですが、話にオチをつけなきゃその場の収まりが悪い気がして、どうにかオチをつけようと話をつなげてしまうんです。
で、同僚の子とそんなときどうしてる? みたいな話になったとき、その子は「私はすぐ謝っちゃうよ」と教えてくれました。「あ、退屈だった? ゴメンネ、くだらない話して」とか言ってニコって笑えばお客さんも「え、いや退屈じゃないよ」とか笑顔になってくれるそうです。
それを受けて、「よし、じゃあシャワー行こ!」みたいに次の段階へ……。この話を聞いて、本当に納得しました。かわいく謝ることで、会話の中断もまるく収まるし、お客さんからは「この子、気持ちを察してくれていい子だなー」ぐらいに思われそうで(笑)。
と前置きが長くなりましたが、今回紹介するのはインタビュー集『人間コク宝 まんが道』。以前、このコーナーで扱った『新・人間コク宝』は、濃い人生をおくる男性芸能人へのインタビューでしたが、今回は漫画家さんへのインタビューです。
どのインタビューも興味深かったんですが、中でも私が感心したのが、格闘漫画『グラップラー刃牙』シリーズの著者、板垣恵介先生へのインタビュー。プロフィールを見ると、インタビューを受けてる年だと54歳だと思うのですが、話すことにバイタリティーを感じます。
おもしろかったのが、空手が超強い人とスパーリングしたという話と、腕相撲が超強い漫画家さんと勝負して勝ったという話。板垣先生は、格闘技も腕相撲もそれなりにこなせるんですが、確実に勝ちを得るために対戦相手を騙すようなやり方をするんです。
たとえば、電話のついでに「腕相撲強いそうですね。今度やりましょうよ」とか気軽に言って、それから必死に腕相撲の練習! 目的の相手と同席する飲み会とかで、「そういえば勝負するって約束してましたよね」などと今思い出したかのように誘って勝負し勝つんです。
相手はそんな約束もうる覚えで普通に生活してるのに、板垣先生は必死で練習・研究して勝つ準備万端。そのくせ自分もいつもと変わらない風を装って、勝負に持ち込むという、この汚さはすがすがしいです。
ひとつの自分プロデュースですよね。相手に努力してるところを見せないで勝って、オレは昔から強かったんですよ、というイメージを植えつけるという……。私も何かでマネしたいと思ったんですが、特に応用できそうなことがないんですよね。
ちなみに板垣先生は、謝る男と書いて『謝男(シャーマン)』という漫画を連載中。冒頭で書いた、同僚の子との謝っちゃうエピソードとリンクして、なんだかしみじみしたインタビューでした。
興味を持ったみなさんは、ぜひチェックを! あと、接客中に会話が盛り下がったら、ぜひ謝ってみては。
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紹介者のプロフィール
【カモちゃん】
小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。
【甘宮あまみ】
漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。


