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心に残る一作
親鸞 上・下
【著】五木寛之
日本史の教科書にチラッと登場する親鸞。鎌倉時代の民衆の絶大な支持を得た仏教者である彼の人生とは。出世に恵まれない下級貴族の養子として京都に暮らす少年親鸞は、多く人々の貧しい生活や最期を知る。やがて彼も、困窮する養父から出家を促されるのだが……。

寄りそう心を大切に

こんにちはー、甘宮あまみです。東京は気温が暑いくらいになって、街を歩くと女の子たちのファッションが一気に春めいて、楽しいです。さらに、地震で落ちていたお客さんの来店も徐々に戻ってきて、ホッとひと息。

今のうちにしっかり稼いで、もしものときの準備をしておかなきゃ、と思います。私の家には、本がたくさんあるので大地震のときはピンチ。今は、本棚の高い位置にあった本を床に降ろしています。いっそのこと、売ってしまおうか……。

そんな本を眺めていて、これおもしろかったな〜、と思い出したのが今回紹介する小説『親鸞』です。親鸞は、平安時代の末期〜鎌倉時代の初期を生きた仏教のお坊さんで、当時の民衆に大人気。現在、有名人のお葬式でときどき聞く、築地本願寺は彼に由来するお寺です。

お坊さんの人生を描いた小説なので、だるそう……、と思うかもしれませんが、これが読んだらおもしろい。発売当時、出版社が『親鸞』を宣伝したときの広告のキャッチフレーズが「青春、恋愛、冒険――いま、最高のエンターテインメント!」ですから。

これを見たときは、それは言いすぎでしょ〜、と疑いましたが、読んだらハマりました。そもそも、親鸞の人生の詳細はあまり分かってないようで、ストーリーの細部はフィクション。この味付けが効いたのか、読み始めたら止まりませんでした。

ストーリーは親鸞の少年時代からスタート。下級貴族の伯父さんに養われている彼は、京の都で多くの仲間、そして長年の敵と出会います。この敵が「六波羅王子」と言って、Sっ気の激しい美少年。

彼と親鸞の初めての対決シーンを読んだ私は、この小説、アニメ化や漫画化のオファーとか来てるんじゃないの……、と思ったほどのエンタメぶりでした。やりようによっては、女の子に大人気のアニメや漫画にできそうです。むしろ私が描きたい……。

当時の偉い人が開催した紅白歌合戦的なイベントに少年時代の親鸞が出演。このシーンの描き方は現代のロックフェスさながらだし、お坊さんがお経を詠んで女の子が大興奮なんてシーンは、ビジュアル系バンドのライブハウスでの光景のよう。

ですが、親鸞が成長してお坊さんになり、悩み苦しむ下巻に入ると、ちょっと内容が固くなります。もしも上巻を読んで、こりゃおもしろいから全部読まなきゃ、と思ったら、ぜひ下巻も読破を! といっても、現在は『親鸞激動篇』が連載中で、続きがあるんですけど。

親鸞は、当時は身分の高い人のためにあった仏教を、民衆に分かりやすく広めたお坊さん。本当に救いが必要なのは、今日や明日の暮らしに悩む人や、多くの人にさげすまれている人だから、その人たちとともに生きたのが彼なんです。

なんだか、書いてることがどんどん仏教の勧めみたくなって我ながら怖いですが、いろんな価値観がある現代では救いを求める対象はたくさんあります。それこそロックフェスに行くことだったり、好きな芸能人だったり。

だけど、弱い人に寄りそうというスピリットは、見習いたいと思ったお話でした。

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紹介者のプロフィール

【カモちゃん】

小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。


【甘宮あまみ】

漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。