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心に残る一作
ハクバノ王子サマ
朔ユキ蔵/小学館
18禁漫画で人気を得た女性漫画家、朔ユキ蔵が描く「負け犬」女の物語。女子高の英語教師、原多香子は美しくも32歳独身彼氏なし。春、女子高にやってきたのは、小津晃太朗25歳。久しぶりの若い男性教師だ。新任の挨拶、晃太朗は全校の前で「年下の女性にまったく興味がない」ことを宣言。はたして多香子と晃太朗の間に、恋は生まれるのか?
こんにちはー、甘宮あまみです。今回紹介するのは青年漫画誌「ビッグコミックスピリッツ」に連載中の『ハクバノ王子サマ』。作者の朔ユキ蔵さんは、ペンネームから男性? と思いがちですが実は女性なんです。

この漫画の連載が始まったのは、世間の人を“勝ち組・負け組”って分けたり、“負け犬”って言葉が流行ったころ。主人公の女性教師、原多香子は32歳で独身のまさに負け犬です。

私は、多香子よりまだ年下だけど、漫画を読んでるとかなり感情移入しちゃいます。やっぱり、作者が女性ということで、女性の心の動きを描くのがうまいのでしょうね。

第1巻で印象的だったのが、多香子が学校から帰宅するシーン。電車内にひとり立つ多香子の周りには3組のカップルが……。恋人同士、赤ちゃんを連れた夫婦、老夫婦。それに気づいた多香子は、こんなことを思います。

「あの2人はお互いを選んで想われて一緒にいるんだろうな……」「あの2人はお互いを選んで想われてあの子が生まれたんだな……」「あの2人はお互いを選んで想いやってあそこまで生きてきたんだ……」「私は……誰にも選ばれなかったからひとりなんだ」

って……。読んで私の心には、黒くて重い塊みたいな、切なさなのかあわれみなのか将来の自分を心配した恐怖なのか、何かは分からないけど“ズ〜〜〜〜ン”ときましたよ。もしかして、お茶ひいてるときにこのシーン読んでたりしたらヤバいな〜、なんて。

ストーリーの中心になるのは多香子と、彼女が受け持つクラスの副担任となった7歳下の男性教師、小津晃太朗との関係です。晃太朗がなかなか優柔不断な男なんですが、多香子もさすが“負け犬”だけあってハッキリしない性格。

ふたりの、くっつくんだか離れるんだか、「ああ結果が心配で心配で早く先が読みたい!」という漫画なんですよ、私の印象は。現在(2008年1月)は8巻まで発売中です。

この漫画を読めば、多香子を反面教師として“負け犬”にならない方法を学べるかも! 繰り返しますが、作者の朔ユキ蔵さんが女性ってとこもポイント高いです。

ちなみに朔ユキ蔵さんの前作は、同じく「ビックコミックスピリッツ」で連載していた『つゆダク』。テレビ局で特殊な業務に配属された主人公のギャグ漫画です。その特殊な業務とは、仕事がらストレスのたまるアイドルや女優、女性芸能人をセックスで癒すこと……。

こちらは『ハクバノ王子サマ』の切実さとはうってかわって、かなり笑えます。よかったらどちらも読んでみてくださいね。

それにしても、最近の「ビッグコミックスピリッツ」はおもしろい漫画が多い。『ハクバノ王子サマ』はもちろん、『ボーイズ・オン・ザ・ラン』『竹光侍』『闇金ウシジマくん』『バンビ〜ノ!』『上京アフロ田中』『新ブラックジャックによろしく』などなど……。

いろんな漫画誌の中で、いま一番おもしろい、と私は思います。こういった雑誌の黄金期に、リアルタイムで生きていられる幸せ。毎週発売日が楽しみです! といっても立ち読みですが……。

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紹介者のプロフィール

【カモちゃん】

小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。


【甘宮あまみ】

漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。