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心に残る一作
  「氷点」
三浦綾子著 2000年 / 主婦の友社
解説:人間の生と死を見つめ、三十五年にわたり人々に愛のメッセージを送りつづけた作家三浦綾子珠玉の小説選集―第1巻は、三浦文学の原点といえる『氷点』。デビュー作となった同書は、キリスト教の説く「原罪」をテーマとした重厚な作品。朝日新聞1000万円懸賞小説入選(64年)。2006年の冬、石原さとみ主演でドラマ化が決定。
映画「シャイニング」の中で、ジャック・ニコルソン演じる小説家のジャックは、ホテルの亡霊に取り憑かれ、自然とタイプライターにこう打ち続けた。

「仕事ばかりで遊ばないジャックは今に気が狂う」

今のカモちゃんはまさにそんな感じ。本も読めねー、映画も観れねー、それで「心に残る一作」なんて書けるかっつーの!

そんなやけっぱちなカモちゃんなんですけど、ぶっちゃけた話、ちょぼちょぼ本は読んでるのよ。でも、失敗しちゃったのよねー。なにせ、最近手に取った小説が、白石 一文の「不自由な心」。いや、確かに面白いのよ、これ。

でも、「会社組織の中で自分を殺し、息苦しさを覚えながら生きる男が見つけた真実の“生”とは」みたいな テーマの短編がズラリと並んだ小説を薦めてもって感じじゃない。ちょっと地味すぎるし、若い女の子の気を惹くとは思えないのよ。

それで、「あーん、やばいよー。締切りだよー。何書けばいいのよー」と悩んでいたら、一つのニュースが飛び込んできました。

「石原さとみ主演で、あの『氷点』がドラマ化!」

これよ!ぶっちゃけ、読んだの10年ぐらい前だけど、いいじゃん、「氷点」!最高じゃん!あの椎名林檎も敬愛する三浦綾子のデビュー作。これは、ホントに凄い小説 なのよ!

ストーリーは、旭川で病院を営む医師が、妻が浮気をしている最中に娘を殺されてしまう。
妻を憎んだ医師は、復讐のために娘を殺した犯人の娘を、事実を妻には告げずに養女として迎え入れる。「陽子」と名付けられた養女は、何も知らぬ義母から十分な愛を注がれ美しく育っていく。やがて全ての事実が明るみに出ると……。

そんなヘヴィーな内容の小説なんだけど、三浦さんの丁寧かつ鮮やかな筆致で描かれると、決してスキャンダラスなだけでは終わらない、至上のヒューマンドラマに仕上 がるのよ。

この小説のテーマは「罪」と「許し」。陽子に何も罪は無い。けど、娘を殺された医師夫妻はやり場の無い怒りを、殺人犯が残したか弱い少女に向けずにはいられない。 浮き彫りになる人間の醜悪さ。その中で気高く生きようとする陽子の姿に、胸が詰まる。

はっきり言って、相当に重いのよ、この小説。つうか、三浦さんの小説は全て重い!けど、「生きる」とは何だ?「愛」とは何だ?という、人間の根源的な疑問に、クリ ティカルなアンサーを返してくれる作品揃いだとカモちゃんは思ってます!

「ドラマで見るから小説はいいやぁ」なんて言わないで、是非この“生きるための教科書”を手に取って、ドラマを先取りしちゃいましょうね!ホントに凄いんだから!

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紹介者のプロフィール

【カモちゃん】

小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。


【甘宮あまみ】

漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。