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心に残る一作
  ララピポ
奥田英朗著  2005年 / 幻冬舎
解説:希望落差社会を笑い飛ばす、負け組たちの大祭典! 勝ち組なんていない!神は何故、この者たちに生を与えたもうたのか? 対人恐怖症のフリーライター、AV・風俗スカウトマン、一応AV女優で専業主婦、NO!と言えないカラオケBOX店員、文芸コンプレックスの官能小説家、テープリライターでデブ専裏DVD女優。そんなぶっ飛んでいる負け組6人たちの、クレイジーな6つのストーリー。爆笑と切なさが交錯する傑作群像小説。
この本、超おもしろい!どのぐらいおもしろいかって言うと、カモちゃんが出勤するため駅に向かい、駅にたどり着いたのにも関わらず「あ、『ララピポ』忘れた」と思って、家に引き返すほどおもしろい!手間よー。一回駅に着いたのに家まで引き返すのって。それほどの求心力が、この「ララピポ」って本にはあるのよねー。超オススメ。

「ララピポ」は、6人の登場人物による6つの掌編から構成される話なんだけど、登場人物が微妙にリンクしていて、1つの街を6つ切り分けたような小説。そしてまた、この6人っていうのが、ダメな連中ばかり。隣室の情事を盗聴する、自意識の高いフリーライター。女を食い物にするキャバクラのスカウト。ゴミ屋敷に住む色情狂のAV女優兼主婦。NOと言えないフリーター。純文学に憧れる官能小説家。自分の陵辱される様を裏DVDで販売する醜いテープリライター。こんな喝采とは無縁の、地にはうようにして生きているダメ人間。けど、その生き様はひたすらリアルで、親近感湧いちゃうのよねー。

ほらぁ、カモちゃんもさ、オカマっつう怒濤のマイノリティとして生きている訳であって、更に言えば職業もボールペン工場の職員で、言っちゃあなんだけど、パッとしないじゃない。結構ダメじゃない。人生失敗気味じゃない。せめてオカマじゃなかったら、せめてボールペン工場の職員じゃ無かったら、もっと輝けたはずなのに……。

でもね、光るのよ、人は!結構な確率で。カモちゃんは。アレよ、二丁目のバーで「淋しい熱帯魚」を歌う時は結構光るし、この小説の登場人物だって、ドラマになりうる輝き方を見せてるのよ。カモちゃんはね、思うの。人は割と、いや、かなりの確率でパッとしてない。でもね、パッとしてないからって、「パッとしねえなあ」って悩む事はないの。だって、みんなパッとしてないんだから。パッとしてるって、NIGOとかああいうのを“パッとしてる”って言うの。その他大勢は。冴えない生活に身を投げ出し、冴えない自分を前にして途方に暮れているのよ。

人がすべからく持つ“ダメさ”。これを鮮やかに描き切り、魅力のあるストーリーに仕立て上げた奥田英朗の手腕は圧巻。伊達に直木賞取ってない。作者本人も言ってたけど、この小説って映画「ハピネス」を下敷きにして書かれてるのよ。「ハピネス」も酷くダメな人々が、ダメな事になっていくという、相当に悲惨な映画だったんだけど、この「ララピポ」の方が読み口マイルドで、入ってきやすい。ダメの描き方にしても優しさが溢れ出てるから、これを読んで「もっともっとダメな人々に触れた〜い」と思った人は、「ハピネス」「ストーリーてリング」「ウェルカム・ドールハウス」あたりに進むと良いんじゃないかしら。

前述した3作品は、全部トッド・ソロンズって監督の作品なんだけど、彼は一貫して人間のダメな部分を書き続けてるの。ひっでえ映画ばっかだけど、面白さはカモちゃんのお染み付き、いや、お墨付きだから、見てみてちょうだい!

おっと話が逸れまくりマクリスティ。「ララピポ」は、とにかく人間のダメさに目を細め、愛しさが溢れてくる掌編群。単純にスカウトマンの話なんて、恋愛の痛さが伝わって来て、胸がギューッとさせられちゃった。こっちの方が全然「Deep Love」よねー。おっと、またYoshiの悪口言っちゃったわ。それではこの辺で失礼しますわ。ニンニン、

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紹介者のプロフィール

【カモちゃん】

小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。


【甘宮あまみ】

漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。