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心に残る一作
  さよならみどりちゃん
南Q太著 / 祥伝社
「あたしのこと、もっと好きになってよ!」主人公・夕張ゆうこはまじめなOL。好きな男ユタカにすすめられてホステスのバイトを始めるが、ずるずると引きずられた生活をしていく…。リアルで切ない恋を描かせたら天下一品!著者初めての長編!
 毎度毎度の事なんですけど、相当ヤバいっす〜。
今、これを書いてるのは、朝の通勤電車。この文章が「らぶぼにーた」にアップされるその日、その朝、カモちゃんったら目を血走らせて、バチバチとキーボードを叩いてるって訳なのよー。
今、ふと思ったんだけど、オカマにデスクワークって似合わないわよねぇ。
やっぱり、ステージで腰振ってナンボ。テンション高めで、2丁目をクネクネと闊歩してナンボ。明け方、アパートの片隅で田舎の母親からの手紙に涙してナンボ。中島みゆき聴いても、ユーミン聴いても、それこそオレンジレンジ聴いても、アパートの片隅で涙してナンボの生き物じゃない。
それがこういう、地味な作業をしていると、オカマである自分の理想と現実のギャップが、なんか、こう、面白いわよね!大したオチとかないわよ!むちゃくちゃ急いでるんだから!
今回紹介するのは、取り上げる作品が思いつかなくて、悩んで悩んで、本棚からえいやと抜き出した南Q太の「さよならみどりちゃん」で〜す。
いや、適当に選んだにしては、なかなかイイ線ついてるんじゃな〜い?これ、映画化したのよね、最近。
もんのすごいおぼろげな記憶だけど、「こんな地味なマンガ、どうやって映画にするんだろう?」って思ったのよ。
そう。この「さよならみどりちゃん」はとっても地味なマンガ。どこにでもある居酒屋を中心にした、どこにでもいる男女のお話。
このマンガが発売された当時、近所のファミマで立ち読みしたんだけど、その時の衝撃ったらないわよね。鼻血出そうになっちゃったもん。
いや、性的に興奮したとかそういう事じゃなくてね。「あ、このマンガ凄い」っていう興奮ね。
涙腺をグイグイ押されて、慌てて買ったもん。コンビニで。チーズおかきと一緒に。
この作品の何が凄いのかって聞かれると、即答はできないのよね。
ただありふれた男女がいて、その中には当然恋愛も生まれる。
その歯車が噛み合わない様や、ふとした瞬間に見つける幸福。その背伸びの無い表現が、実にリアルで、痛切にしみるのよねー。
この物語の主人公・ゆうこは、小さな会社でごく普通のOLをする女の子。彼女に彼氏はいないけど、セックスをするゆたかという男はいる。
まぁ、セックスフレンドよね。ゆうこはゆたかと付き合いたいという気持ちはあるものの、「まあ、これでいい か」みたいな割り切った気持ちもあって、ズルズルその関係は続いていくの。
そのうち2人を取り巻く仲間達の間にも軋轢ができたりして、全ての関係が徐々に歪んでいき、最後にゆうこは自分の本当の気持ちに気付く。
……って、これ、ダメ!カモちゃんはあらすじの書けないオカマ!
だって、上のあらすじを読んだって面白く無さそうだもん!
今、カモちゃんにはあらすじを書く才能が 無いという事実が発覚した訳だけど、南Q太は男女のリアルを描く才能に溢れてるの。そんなささいな事だからこそ、感情移入がバリバリ入って、ふとした何気ないシーンですら涙を誘う。
感動か?悲しさか?それは全部違うの。これは、全ての若者が共通して持つ“痛さ”が伝わってきて、どうしようもないほどのもどかしさが涙を誘うのよね。それは、どんな涙より、しみじみと切ない。リアルな痛み。
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紹介者のプロフィール

【カモちゃん】

小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。


【甘宮あまみ】

漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。