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心に残る一作
 あの頃ペニー・レインと
 2000年/米 ソニー・ピクチャーズエンタテイメント配給
 監督・脚本:キャメロン・クロウ / 出演:ビリー・クラダップ、ケイト・ハドソン、アンナ・パキン、フランシス・マク ドーマンド
 STORY:1973年、たった15歳でローリングストーン誌のライターとしてデビューした少年がいた。厳格な母親に育てられ、弁護士を目指していた優等生。姉の影響でロック・ミュージックを聞き始め、伝説的なロック・ライター、レスター・バングスと出会い、彼の雑誌や地元の新聞に掲載された原稿がローリングストーン誌の編集者の目にとまる。そして彼はローリングストーン誌からブレイク寸前のロックバンドのツアーに同行取材する仕事を得る。そこでウィリアムは、グルーピーのリーダー的存在、ペニー・レインと出会い、初めての恋に落ちる。
 はふ〜ん。オカマのカモちゃんでーす。はふ〜ん。
え?いつも元気なカモちゃんがなんでため息をついているのかって?実は最近ねえ、青春時代についてよく考えるのよ。
私にもあったのよねー、きらめく青春時代が。夏 の海。照りつける太陽。トシユキくんの小麦色に焼けた肌。その後背筋の美しさに息 を飲んだっけ。
そんな思い出に浸っていると、まだ夏というには早いけど、うっとりしちゃうのよね。はふ〜ん。
あの“青春”という季節は、二度と返ってこない季節。いくら「わしは生涯青春 や!」とわめいた所で、十代の甘酸っぱくて、ままならなくて、とにかく不器用な季 節は、決して返ってこないのよねぇ。
今みたいに小器用な大人になってしまうと、どうでもいい事で身悶えるような感覚って無くなってしまうわよね。
でも、この「あの頃ペニー・レインと」を見ると、そういう青春の在り方がまざまざと蘇ってくるのよ。「ああ、確かに自分にもこんな時期があった」って。
まず主人公が15歳の少年、ウィリアム。これ、重要ね。青春映画の主人公が団塊の世代じゃちょっと案配悪いからね。
ウィリアムは、“ロックなんて音楽は軽蔑すべきもの”と考える厳格な母親に育てられ、将来は弁護士になるよう熱望されていたの。
でも、ウィリアムはロックが好きで、音楽ライターとして自分の力を試してみたいと思ってるのよ。
結局、彼は一人で音楽ライターへの道を歩み始めるんだけど、このくだりだけでもかなりじわ〜っとしちゃう。前しか見えない青春時代特有の無軌道な情熱。
良かれと思い息子の進むべき道を指し示しているのに、受け入れてもらえない母親。
ああ!ぽいね!青春っぽいね!
そして、バンドの取材をする中で出会ったグルーピー(追っかけみたいなもの)の少女 にウィリアムは人目惚れするのね。
彼女の名前はペニー・レイン。
「私は他のグルーピーと違ってミュージシャンとは寝ない。
心で繋がり、バンドを支える“バンド・エイド(バンドの救済)”なの」と語る彼女は、その言葉を見れば分かるように少女らしい青臭さを残しながら、完熟した女のようでもあり、とても不思議な魅力の持ち主。
常に飄々と周囲の人間に接し、みんなに愛されてるカリスマめいた女の子なのよね。
このペニーにはカモちゃんもやられた。オカマなりにやられた。
参っちゃうわよ、可 愛らしすぎて。演技も凄くお上手だしね。
あーん、カモちゃんもペニーと同じ髪型にしてみたいよー。
それはともかく、物語はその後、ウィリアムとペニー・レイン、その他のグルーピー、それにスティルウォーターというバンドのメンバーがバスで一緒に土地土地を巡るロードムービーになるのね。
密接に結びついた彼らは、もはや家族。旅芸人の一座みたいなコミューンが形成されるのね。なので、そのバスには、愛があり、憎しみがあり、救済がある。
ウィリアムも得難い経験をし、絶望もする。彼の純真すぎる心は、欲望に踊る大人に翻弄され、揺れ動いていくのね。
その崇高な理想が壁にぶち当たって、あがき苦しむ様は、もう言わなくても分かると思うけど、青春なのよ!
実はこの映画、キャメロン・クロウ監督の自伝的作品らしいのね。多分だけど、キャメロン・クロウは、この映画に一番思い入れがあると思うわ。
自分の事について描いた作品だからって訳じゃなくて、他の作品と比べても画面から伝わってくる愛が凄いのよ。
例えば、理想に輝いていた過去の自分。バンドと過ごした輝ける時間。70年代のロックに対する愛情。そして、ペニー・レインへの思い。
全てが監督の中で大切なエピソードだと思うのよね。それらが詰まった宝石箱のような作品がこれ。決して自己満足の映画に終わらず、軽妙なテンポで、時に米産映画らしいストレートなユーモアも交えつつ、見る者全ての青春を呼び覚ましてくれる。
この映画は、一人で見てじんわりするのも良いけど、ちょい倦怠期のカップルに良いカモね。
これを見て二人でじんわりと甘酸っぱい気分になれれば、相手の顔が少し新鮮に見えてくるカモしれないからね。
私は恋人いないんで、一人で見てじんわりしました。私の心境もペニーと一緒。何故誰も私を愛さない…。
その思いに捕われた時、ペニーには寄り添ってくれた人がいたけど、私には誰もいやしない!そんなカモちゃんとペニーとの差は、本編を見て確認してちょうだいね!
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紹介者のプロフィール

【カモちゃん】

小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。


【甘宮あまみ】

漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。