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心に残る一作
コーヒーもう一杯
【著】平 安寿子
結婚するつもりだった恋人にふられ、会社では大失敗。人生のピンチに陥った32歳の未紀は、勢いでカフェを開業する。経験もスキルもなしで、貯金を全部はたき借金までして資金繰りに奔走。食品衛生責任者の養成講習会を受け、物件を探して改装し、食器や椅子や備品を集めて、メニュー作り。次々難題を片づけて、なんとかオープンしたけれど……。

自分のお店を持つなら

こんにちはー、甘宮あまみです。先日、お店に入店したA子ちゃんは、2年ぶりの風俗復帰とのことですが、早くも指名で大忙し。すごいねー、とみんなで目を丸くすると、なんとA子ちゃん、風俗を離れている2年の間も、前のお客さんをプラベでキープしていたそうです。

2年前、引退するって決めたとき、店のお姉さんに「どうせすぐ戻ってくるから、客は絶対にキープしときな」としつこくアドバイスされたんだとか。それを守ったA子ちゃん、堅気の間もお客さんとデートしては服を買ってもらったりなんだり。すごいプロ意識ですよね。

さて、ふたつ前のこのコーナーで以前、私が文房具屋を経営したかった、という話をしましたが、あらためてやらなくてよかった、と思える本を読みました。それが今回紹介する小説『コーヒーもう一杯』。

これはもうネタばらしちゃいますが、主人公が思いつきでカフェを経営して1年でつぶす話です。自己資金300万円、母親と親戚から100万円ずつ借金、日本政策金融公庫から500万円借金。計1000万円を元手にカフェ開業!

なんだかんだいって小説なので、ピンチを乗り越え成功するのかと思いきや、普通にお客さんが入らずに、あるとき体調を崩して臨時休業したのをきっかけに、もうやめたほうがいい、って廃業しちゃいますからね(笑)。

ストーリーを追いながら、カフェ開業のためのHOW TOも学べて、正直、読んでると「私でもやれそうじゃん? カフェ」と思えてしまいます。でも、この『コーヒーもう一杯』を読んだ後では、その自信を保つことはできないでしょう。

もしちょっとうまくいったとしても、あるとき近所にドトールが進出してきたら? 地域の客を二分するどころか、7割は向こうに持っていかれちゃうでしょう。このように、外的要因で自分の努力はいくらでもパーになります。

風俗の女の子の中にも、「将来は自分の店を持ちたい」って子がたくさんいますが、その前に『コーヒーもう一杯』を読んでみてください。本の帯の宣伝文には、作家の山本文緒さんが「カフェを夢見る人に是非読んでもらいたい。失敗が怖くなくなります。」とあります。

私は読んで、失敗が怖くなりましたよ! まったく、山本さんもこんなことよく書いたな〜、結局こういう人も、きっとお金もらって宣伝文を書いてるわけだから、著者が喜びそうなことしか書かないんでしょう。なんて被害妄想まで頭をよぎるようになってきました(笑)。

とにかくこの本は、自分のお店を持ちたいと思っている子は必読! 夢で熱くなって、判断力の落ちた頭を冷静にしてくれます。それでも、どうしてもやりたい場合は、A子ちゃんのようにお客さんをキープして、風俗復帰に備えましょう。

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紹介者のプロフィール

【カモちゃん】

小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。


【甘宮あまみ】

漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。