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さくらの唄
- 【著者】安達哲
- 90年代の名作漫画として語り継がれる一作。主人公の市ノ瀬利彦は、美大志望で内向的な性格の高校3年生。恋や進路に迷いながらも、幸せな青春を過ごす彼の生活は、不動産業を営む叔父の登場で一変する。バブル経済の隆盛と崩壊の狭間にある混沌、金、権力、暴力、セックス。はたして、市ノ瀬の青春はどうなるのか?
★男を手玉に取るヒント
こんにちはー、甘宮あまみです。先日、iPhoneとは別の携帯を解約しようとショップに行ったんですが、朝で店員さんが少なかったこともあり、約1時間も待ちました……。それについてひとつ不満が!
私より後に来た、携帯代金支払いの何人ものお客さんは、どんどん呼ばれてお金を払って帰っていくんです。携帯ショップで現金払いってシステム、無駄に店が混む上に、私みたいに前から待ってる客がイライラするからやめてもらいたいです!
という思いをツイッターでつぶやいたら、フォロワーのひとりが「不良客から回収を急ぐのは基本ですから」と慰めてくれました。そうですよね。そのお金が、私へのサービスにも役立つはず、と資本主義の現実で自分を納得させて順番を待ちました。
さて、今回紹介する『さくらの唄』は、1990〜91年に青年誌『ヤングマガジン』に連載されていた青春漫画です。主人公の市ノ瀬は、恋や進路に悩む一般男子が感情移入できるようなキャラクター。
担任の女性教師にあこがれたり、同じく美大を目指すクラスの女子に恋したり、一緒に暮らすお姉さんにオナニーを見つかったり……。でも、そんな他愛なくて幸せな日常は、市ノ瀬にとっても読者にとっても長くは続きませんでした。
みなさんの周りにもいるであろう、苦手、邪魔、障壁となるキャラクターの登場です。市ノ瀬とお姉さんが暮らす家に現れた叔父が、数々のめんどう事を呼び込んで、市ノ瀬はいやがおうでも現実を見せられます。
金や権力、暴力、セックス……。高校生で童貞の市ノ瀬には、とってもキツい現実であった以上に、読者にとってもウソーン!な現実でした。清楚な女性教師が実はあんな……。強大な権力によってつつましい生活を壊される人たち……。
これ実は、著者の安達哲さんがストーリーづくりに行き詰って、メチャクチャに描いた結果らしいのですが、それが功を奏して読者に強烈なインパクトを残し、『さくらの唄』は90年代の名作漫画のひとつとして語り継がれることとなったのです。
ちなみに当時、『さくらの唄』は全3巻の単行本だったんですが、3巻だけ18禁なんですよ。そうなるほどに内容が過激になり、読者からの人気もうなぎのぼり、したかのかどうかは知りませんが、単行本以外に愛蔵版、文庫版、BOX版と何年にもわたって売り出される始末。
男は清らかな女性が好きであり、さらには金や権力を背景とした暴力やセックスものぞいてみたい、ということではないでしょうか。なお、結局はハッピーエンドになるので、最終的にはいい子ちゃんでいたい男のわがままにも応えているのがこれまた人気の秘訣。
読んでみると、男を手玉に取るものとして、相手の欲望に先回りするヒントがつかめるかもしれません。また最近、安達哲さんの新作『シュセンドー』が発売されました。こちらは、詐欺師と被害者の、汚い金の騙しあいを描いています。けっこうおもしろかったですよ!
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紹介者のプロフィール
【カモちゃん】
小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。
【甘宮あまみ】
漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。


