心に残る一作
- 難波鉦異本(なにわどらいほん)
- 【著者】もりもと崇
- 大阪「新町(しんまち)遊廓」の和泉(いずみ)は、三味線や男を転がすテクニックは抜群だが、気品に欠けるアウトローな遊女。そんな彼女だからこそ、出会う事件は事欠かない。金、色恋、別れなど、江戸時代の遊廓を舞台にさまざまな人間ドラマが描かれる。ギャグも盛りだくさんで単純に楽しい。
笑えて勉強になる!そのお店は住宅地の中にあるので、近所の彼女の友達とかが普通に遊びに来る感覚で飲みに来たり、帰り道に寄ったり、そして彼女目当てで来る男性客もいるみたい。もちろん彼女の人徳ありきなんですが、地元客をつかむのは大事だな〜と思いました。 彼女、まだ若いから、このままだと「あと10年は食いっぱぐれなく、バーで上げた収益で、やろうと思えば事業拡大できるんじゃ……」とひとり勝手に計画を立てた私……。なんにしても、水商売を一人でやるなら、きっと女性の方が稼げるな、と感じた夜でした。 さて、今回紹介するのは江戸時代の大阪の遊廓を舞台とした漫画『難波鉦異本(なにわどらいほん)』です。江戸時代の風俗嬢が主人公の漫画です。 私は、似たジャンルの漫画として安野モヨコさんの『さくらん』、坂辺周一さんの『百人遊女』を持っていますが、『難波鉦異本』を読んで、遊女漫画の中ではこの『難波鉦異本』がいちばん好きになりました。 『難波鉦異本』の主人公は、女は売るけど自分は売らないって感じの姿勢で遊女をやってる和泉。こんな性格だから、ナンバーワンにはなれません。そのあたりは『さくらん』の主人公、きよ葉に似ています。 『さくらん』は著者の安野さんが女性ということもあり、本当はいちばん応援したいのですが、キャラの描き方やストーリーなど、面白さでは本当に『難波鉦異本』のほうが上です。ちなみに『百人遊女』はちょっとドラマチックすぎて読むのは1回でいいやって感じ。 私が『難波鉦異本』を読んでいちばん魅力を感じたのは、やっぱり主人公の和泉のキャラ。まわりの嬢は女を上げて人気を得るのに必死なのに、和泉は芸は三味線が抜群なだけで、あとは金・金・金! 漫画として、読者の心をつかむために大事な第1話にある、和泉のセリフが特にしびれます。これは、遊女の見習いとして和泉についている女の子が、私にも芸を教えてくれとキレ気味にせがむシーンのセリフ。 「うっかり孕んだり 病気なったら カネ 芸 神仏 オトモダチ どれが助けてくれるか はっきりするわいの 身ィ守る方法 知らんまま 身売る芸 覚えたいんか?」 セリフにしびれたみなさんは、ぜひ『難波鉦異本』を読んでみてください。このシーンはね、絵もいいんですよホントに。そして、すごくシリアスに描いた後、コロッとギャグに変わって、漫画としてもうまいな〜と思います。 ちなみにタイトルの『難波鉦(なにわどら)』とは、江戸時代の風俗情報誌で、新町遊廓の遊女のインタビュー記事が載ってるんですって。うーん、人間って、昔からあんまりやること変わってませんね。金が大切っていうのも、同じですし! 『難波鉦(なにわどら)』には、実際に「いずみ」という遊女も収録されているそうです。漫画はこういった資料を元に描かれていて、歴史上の有名人も登場します。私は、日本史は戦国時代と幕末が好きなんですが、江戸時代の町人文化も面白そうだな、と思いました。 いろんな楽しみが詰まった漫画です。興味のある方は、ぜひぜひ! |




