心に残る一作
-
ほんたにちゃん
- 本谷有希子/太田出版
- 主人公は写真専門学校に通う19歳の女の子。自分には一般人に無い才能があると信じる彼女だが、実はそんな才能まるで無いことに気づいている。しかし、子供のころから信じ続けた才能の呪縛か、他人とは違う自分を演出することに命がけ。そのため、まわりにとけ込めず、世間との差は開くばかり。どんどん痛い女になる、彼女に未来はあるのか?
人のふり見てなんとやらさて、みなさんは将来、どんな自分になってると思いますか? やっぱり夢は大きく女優、起業して日本トップレベルの女社長、風俗での経験を生かして小説家、それとも結婚して幸せな家庭を築く……。やるからには上を、より幸せを目指すのが絶対にいいと私は思います。 でも現在、その夢の途上で「なんかうまくいかないな……」なんて思ってるみなさんは、今回紹介する『ほんたにちゃん』を読んでみるといいかも。主人公の女の子の痛い言動や妄想に、「あれ、私もヤバい……」とか反省できるかもしれません。 彼女は、自分には才能があると信じ、写真の専門学校に通うべく上京した19歳。他人に「あの人、ちょっと私たちとは違う……」と思わせるため、アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイのような、まわりにとけ込まないクールなキャラを演じてる女の子。 まわりが楽しく会話しているときに話を振られても、「笑いとか……よく分んないから」とか、「別に……」なーんて突き放しちゃう、コミュニケーションしづらいキャラなんです。 というのは、この子はそんなキャラを演じれば、まわりに注目されると思っているんですね。でも、それはまったくの勘違い。たしかに、もし天才的な能力を持っていれば、扱いにくいキャラでもまわりはチヤホヤしてくれます。 でも、彼女はまだなんの才能も発揮してないもんだから、まわりからすればただの暗い女。本当はチヤホヤされたいのに、まわりからはどんどん浮いていく……。なんだか自分がヤバいことは分かっているのに、急にキャラ転換もできずに痛い深みにハマっていく彼女。 本当は小豚のベイブが大活躍する映画『ベイブ都会へ行く』が一番大好きなくせに、ムリして“鬼才”監督スタンリー・キューブリックの映画を見てみたり、とにかく、まわりとは違う私を演出するのでいっぱいいっぱいなんです。 さあ、みなさんはどうですか、もしかして、「あれ、私もヤバいなー」って人いませんか? ちなみに、けっこう私はヤバいですよ(笑)。iPhoneなんて予約しちゃってるし、しかもホワイト。スタンリー・キューブリックも好きだけど、実は一番好きなのは“ザ・エンタメ”映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ。 いや、別にキャラ演じてる気は無いんですけど、物のセレクトはかなり王道を外す傾向があるんですよね。今でこそ、わりと他人とコミュニケーションできるようになりましたが、以前は「別に……」とか「よく分からない」とかで盛り上がりをぶった切ってたし(笑)。 正直、夢や幸せをつかむには、人のつながりって大事です。自分のやってることを他人にアピールしておくと、思わぬところから夢や幸せにつながる近道が舞い込むこともありますし、日常的なプラスは、分からないことを聞いたり、教えてもらったりできるとか。 夢や幸せを目指してるけど、「なんかうまくいかないな……」って人、もしかしたら痛い人になってるかもしれません。『ほんたにちゃん』を読んで、痛い人の痛さ加減を確認してみては! |




