心に残る一作
-
向こう町ガール八景
- 衿沢世衣子/青林工藝舎
- 女性漫画家、衿沢世衣子(えりさわ せいこ)の短編を8作収録。女の子を主人公に他愛ない日常を描きながらも、作品世界には独特の空気感が漂う。2000年のデビュー作『カナの夏』、女子高の生活を描きつつ環境問題にもふれる『放課後バックビート90』、離婚した母親が急に戻ってきて始まる新生活『オムレツ』など。
待機中にピッタリな漫画先日、ラブホから一人で出てきた女の子が、「ペッ!」とツバをはいたとこを目撃しました。そのラブホは出口が左右にあって、反対側の出口からは男の人が一人で出てきてそそくさと向こうに去っていきました。きっとその女の子のお客さんだったんでしょう。 彼女は、別れ際にお客さんとキスをしたんでしょうね。で、ホテルから出てすぐ「ペッ!」って。最後のキスまではお客さんにとって理想の女の子を演じ、「バイバーイ♪」なんて手をふって別れたあとは「ペッ!」とホントの自分に戻る女の子。 うーん、分かりますその気持ち。そして、リアルな女の子を目撃できて興奮もしました。今回紹介する漫画『向こう町ガール八景』には、女の子のリアルな面が数多く詰まっています。男と一緒にいるときは見せない顔。読んでて「あるあるー」みたいな。 特にドラマチックな展開は無いし、それって漫画で描く意味があるの?って思う人もいるかもしれませんが、まあそこは漫画による表現の広がりということで! 中学の国語に出てくる『枕草子』なんかは、女性が書いた今で言うエッセイですよね。 女性が文字で何かを表現するのが珍しい平安時代に、「春は夜が明ける頃が一番いいんだよね〜」なんて日常を文章にしたら、読んだ人に「キミの物の見方、おもしろいね〜」とか評価されちゃって。 時代はどうあれ、どうってことない日常も、あらためて見ると楽しかったりするものです。こういう漫画って、いつどこで読み始めても読み終わっても、続きが気にならないから暇つぶしに持って来い!なんですよ。 なので今回は、この『向こう町ガール八景』のほかにも、待機中にダラダラ読める漫画をツレヅレと書きますね。 まず、女の子の本音や恋を鋭く描く女性漫画家、魚喃キリコさんのコメディ作品『ハルチン』。男の子にあまり縁の無い女の子ハルチンの、わりとマヌケな日常に笑わされながらも、他愛ないことで幸せになれるハルチンに共感もできます。 続いてはこちらも女性漫画家、高野文子さんの『るきさん』。恋や結婚に興味がなさそうな女性るきさんの、見てて楽しい行動や独特の価値観には、「ありかもね」と感心! なおこの『るきさん』の漫画表現が、 前述の『ハルチン』に踏襲されている点にも注目です。 そしてまたまた女性漫画家、サラ・イネスさんの『誰も寝てはならぬ』。こちらは登場人物に男性が多いですが、個性豊かなキャラがゴチャゴチャからむわりにストーリーはゆるーい、不思議な漫画です。そして笑えるのも好きです。 最後は趣向を変えて怖い話! 男性漫画家、中山昌亮さんの『不安の種』です。エピソードひとつひとつがスゴく短いんですが、それがまた怖い話にピッタリ! パラリ、パラリ、パラリとページを読み進めるとギャー!!!って、最後に怖がらせてくれますよ! 待機中に読む漫画をお探しのみなさん、気が向いたらぜひぜひチェックしてみてください。 |




