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心に残る一作
夢を与える
綿矢りさ/河出書房新社
解説:幼い頃からモデルとして活躍し、やがて多くのファンを持つ芸能人に成長する主人公・夕子。誰からも愛される存在となった彼女が生きた18年は……。著者は綿矢りさ。2001年に小説『インストール』で第38回文藝賞を当時最年少受賞。2004年には小説『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を史上最年少受賞した彼女の、3年ぶりの小説。
こんにちはー、甘宮あまみです。今週の火曜日(2007年4月10日)、日本テレビ系のドラマで『セクシーボイスアンドロボ』ってのが始まりましたがご存知ですか? あれ、黒田硫黄さんて方の同名漫画が原作なんですよ。

黒田さんファンの私は、ドラマ化をきっかけに漫画が売れまくって、「たくさんの人が黒田さんを知ってくれたらなー」と心ときめかせています。そしてドラマには、映画『デスノート』の天才探偵・L役でブレイクした松山ケンイチさんが出演。

『デスノート』で松山さんファンにもなっちゃった私にとっては、幸せな春です。さて松山さん、こないだバラエティ番組で話しているのを見たのですが、出身の青森弁なのか、ちょっとなまったおしゃべりが素敵でした。

彼は今22歳で、テレビデビューは2002年のドラマ『ごくせん』。17歳くらいに芸能活動を本格的にスタートしたみたいです。まだ若い! これから、いろんな作品で彼を見られると思うと、生きる楽しみがひとつ増えたような気がします。

前置きが長くなりましたが、今回紹介するのは小説『夢を与える』。著者の綿矢りささんは、2004年に日本文学界の最高賞のひとつ「芥川賞」を史上最年少・19歳で受賞した才女。ルックスが萌え萌えの、これまた私好みの方です。

この作品は彼女の、3年ぶりにして芥川賞受賞後の第一作。もう、日本中が待ち焦がれていた小説と言って過言じゃありません! ストーリーは、雑誌のチャイルドモデルから芸能界に入り、日本全国から愛された美少女タレント・阿部夕子の18年。

私は読んでて、いろんなポイントで泣いちゃった。夕子の甘酸っぱい恋だとか、彼女が目標を達成したとき、そして夕子のお母さんの、オトナの女性としての心の動きなんかも胸にズゥーーーンときて、涙がジワーって……。

無名のモデルだった夕子ちゃんに、メジャーな仕事が舞い込んで、トントン拍子で国民的美少女。可愛い夕子、迷う夕子、恋する夕子、がんばる夕子、悲しむ夕子、怒る夕子、そしてエンディングは2007年ぽいと言えばぽい、夕子が見られます。

残りのページが少なくなってきて、夕子の人生を見られるのがあと少しって分かってくると、私の中には「先を読みたくない!」って感情が沸いてきちゃった。こんな小説、初めてだよ。「まだ夕子との時間を共有してたい」「夕子まだ終わらないで!」って思えました。

そんなにこの作品にハマったのは、夕子がある言葉に違和感を持ってて、私がそれに共感できたからかもしれない。その言葉とは、小説のタイトルである『夢を与える』について。インタビューで、大きくなったらどんな人間になりたいか質問された夕子は、マネージャーのアドバイスどおり「夢を与える人になりたい」って言うんです。

でも、彼女はこの言葉がなんか変だな?って感じる。そして私も、風俗の女の子のプロフィールで目にしたり、ムービーのひと言でよく聞く「癒しを与えてあげるね!」みたいな言葉。これにね、すごい違和感があるの。

癒しって与えるものなのかな? 与えますって宣言できるものなのかな??って。これね、今まで誰にもぶつけたことのない疑問。私としては癒しって、感じる側が使う言葉だと思うんだよね。風俗で言えばお客さん。

女の子と遊んだあと、「あー彼女と会うとなんか癒されるなー」みたいな。だから「与えてあげる」って女の子が言うのは、無意識に使っていたとしても、上から目線でお客さんを見てるんじゃないかと……。ごめんなさい! 私なんかが語っちゃって。でも、私はそう思うんです。

と、『夢を与える』を読んで再確認した、私の中の疑問でした。夕子ちゃん目線でのぞける芸能界。多くのタレントがしのぎを削る世界は、きっとお仕事する上でも参考になると思うので、ぜひ読んでみてください!
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紹介者のプロフィール

【カモちゃん】

小学生の夏休み、自転車で日本一周を志し東京を出発。その晩は伊豆下田の親切な老人の家に泊めて貰うも、老人の“年齢の割に強い腕力”に屈してヴァージンを捧げる。翌日には泣きながら東京の実家へと舞い戻る。 しかし、幸か不幸か味をしめてカマ道一直線。現在は派遣でボールペンに芯を入れる仕事をしながら、日々同僚の苦学生に熱い視線を送る31歳。前科一犯。


【甘宮あまみ】

漫画家を目指してヘルスで働く女の子。日常の行動範囲はアパートとお店、本屋、画材屋、レンタルビデオ屋と狭く、疲れたときはネットを眺めるのが好きな準ひきこもり。漫画を描いてはいろんな賞に応募したり、出版社に持ち込みに行く積極性はある。お店年齢は21歳。