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私はハグ屋さん

お客さんは障害者。そんな専門デリヘルでの経験が豊富な著者が書く、さまざまな男性との出会い

第46回 『もっとも後悔の残るお客様』

こんにちは。桂樹碧です。風邪が流行っているみたいですが、みなさん大丈夫ですか?

障害者専門デリヘルを独立開業してから、遠距離のお客様からのご依頼が増えました。前に在籍していた二店では、両店合わせても4ヶ月に1件程度だったのが、独立後はひと月に1件ペースに。

ネットを使ってお店を検索しているお客様が多いというのもありますが、やはり普通の風俗よりも障害者のことを分かっている子に接客してもらいたい、という希望も大きいんだと思います。

その日のお客様は、東京から新幹線と在来線を使って、5時間近くかかる場所でした。プレイ時間は昼間だったので、新幹線でもなんとか日帰りで帰ることができます。お客様は脳性麻痺で、自宅でのプレイをご希望。

待ち合わせ場所は、お客様の自宅近くの駅で、周囲は地方によくあるシャッター商店街でした。見た目は20代半ばくらい。手がまったく自由にならないそうで、足を手の代わりにして、仕事もこなしているそうです。

その日も、お客様は真冬だというのに裸足。車椅子のフットレストに設置されたジョイスティックを操作して、車椅子を動かしていました。

「今日は遠いところありがとう」

「いえ、こちらこそお仕事ありがとうございました」

ご挨拶をして、お客様のお宅へ。新築の大きな一軒家でした。

「俺はエレベーターで部屋に上がるから、玄関から二階に入ってきて。部屋は二階の奥」

そう言われるとお客様は車椅子を降りて、エレベーターがある廊下の端まで這いずるような格好で移動。私は、言われた通り玄関を上がって、階段で二階のお客様の部屋へ。部屋数も多そうな立派な家でした。

「今日は隣の部屋にじーさんがいるんだ。今寝ているし、寝たきりだからあまり気にしないで」

えぇー!! それはちょっと困ったなー、と正直思いました。とにかくシャワーを浴びさせてもらおうと思ったのですが、家族に怪しまれるからシャワーは使わないでくれ、と言われて、プレイ開始。

「声があまり聞こえると、じーさんが起きちゃうから」

そう言って、布団を被ってのプレイになりました。いつも通り、洗浄綿でおチンチンを拭いて、ディープキスから手コキ、69、フェラチオなどのサービス。しかし、お客様の反応はありません。お布団の中で懸命にフェラをしたのですが、まったく勃起しません。

遠距離で金額もかかっているので、なんとしても一回は抜かないと! とがんばってみましたが、まったくダメ。お客様も焦りはじめたみたいで、私の体と顔を舐め回したりして、少しでも性的興奮をおこそうとしましたが、おチンチンは勃起しません。

「普通のデリヘルも呼んだことあるけど、そのときも射精できなかったんだよね。障害者専門デリヘルなら大丈夫かと思ったんだけどダメか」

そう言って掛け布団をはがされてしまい、プレイは終了。自分の力不足を痛感しました。自分はお客様に障害があっても、勃起する人なら射精させることができる、とあぐらをかいていたんじゃなかろうか……と自分を責めました。

「さっさと洋服着て、帰ってくれないかな? これプレイ代」

お金の入った茶封筒を渡されました。お客様はご自身で着替えをして、パソコンに向ってしまいました。

「まだプレイ時間残っていますが」

「もういいよ。あーあ。障害者専門デリヘルっていうから、それなりのテクニックで射精させてもらえると思ったのにな。ガッカリしたよ」

言葉が心にグサグサと刺さりました。急いで着替えて、ありがとうございました、と挨拶をしてお客様の家を出ました。

駅についてすぐにトイレに駆け込んで、持っていた洗顔料で舐められた顔を洗いました。悔しさと後悔とみじめさが混じったなんともいえない感覚に涙が溢れてきました。こんなに後悔が残った仕事は初めてです。

仕事から帰って来て、前回のコラムに書いたAさんに電話をしました。

「そいつ、インポだよ。それに家族のいる家でプレイするなんて、俺だって勃起しないよ。環境が悪かったのが第一原因だから、気にしない方がいいよ」

と慰められました。

私が障害者専門デリヘルをやっていて、一番後悔の残ったお客様でした。そのときの教訓として、家族が在宅している場合は、家族に伝えて家から出かけてもらうこと。なるべくラブホでプレイすること。などをお客様にお願いするようにしました。

今でも時折思い出す、苦い体験です。

それではまた次回♪

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