バックナンバー

私はハグ屋さん

お客さんは障害者。そんな専門デリヘルでの経験が豊富な著者が書く、さまざまな男性との出会い

第19回 『ソープマットの利用方法』

こんにちは、桂樹碧です。

その日のお仕事は、都内でも下町のほうでした。店長にプレイするホテルの近くまで送ってもらい、お客様が運転する車に乗りかえることになっていました。

「お客さんの障害は脊損。あすかちゃん好みだねー」

その通りです。待ち合わせ場所に着いたので、店長がお客様に電話。

「もしもし。○○(店名)の店長です。待ち合わせの場所に着いたんですが、お車どれですか?」

すると、クラクションを鳴らす紺色の車が。お客様のようです。デリヘルバッグ担いで、お客様の車へ。「脊損って足動かないんでしょ? それで車運転できるの?」と思うみなさんも多いと思いますが、手動装置を付ければ運転できるんですよ。

手動レバーを押してブレーキ、引いてアクセル操作ができます(多分どこの手動装置も同じはず)。車やバイクの事故で脊損頸損の障害を負う人が多いからか、みなさん、自分の車にはいろいろこだわりを持っている人が多かったです。

私とSM関係にあった元御主人様も外車に乗っていて、車はツーシーターじゃないとダメ。そして「格好悪いからつけない」と車椅子マークを車に貼っていませんでした。

「こんにちは、あすかです。本日はご指名いただきありがとうございます」

「こんにちは、今日はよろしくね」

お客様は30代前半ぐらいでした。

「ホテルで待ち合わせしてもよかったんだけど、デートしている雰囲気が欲しくてさ。お客様じゃなくて名前で呼んでくれないかな? Tって」

「わかりました。Tさん、って呼びますね」

「それじゃ出発!」

待ち合わせ場所からそんなに離れていないラブホテルに着きました。部屋に入ると、浴室はガラス張りの丸見え状態。ソープのマットが置いてありました。お店に電話を入れてプレイスタート。この日のプレイは、Tさんがお風呂をのぞいて決まりました。

「お! ソープマットがある! マットプレイしたいなー!」

「いいですね。ローションも大きいボトルの持ってきたんで、できますよー」

「じゃ、やろう! 車椅子降りて這って行くからさ」

車椅子からベッドに移って、洋服を脱ぎながら、やる気満々のTさん。私も洋服を脱いで、お風呂場を確認します。ドアの下の鋭いアルミの部分が気になりました。下手するとここでTさんのお尻などに傷がついてしまうんじゃないかな?と思いました。

うーん、どうしよう?と思ったときに目についたのが、ソープマット。これを敷けばTさんが傷つくことはない!

脊損頸損の人は感覚が無い部分に傷ができると、褥瘡(じょくそう)という、床ずれと同じように皮膚と筋肉が壊死してしまいます。最悪は手術で切開しなくてはなりません。ですから、ちょっとした怪我でも怖いのです。

えいや!っとソープマットを浴室のドアの前に敷いて、Tさんに浴室に入ってもらうことにしました。

「ソープマット敷いたんで、移動で怪我しないと思います」

「お! あすかちゃん機転が利くね!」

ソープマットの端にベッドから降りて、Tさんが這って浴室に入りました。

「じゃ、マットプレイしようよ♪」

ソープマットの上に横たわったTさんの胸から下腹部にかけてローションを垂らしました。私はSMクラブ時代に数回しかマットプレイしたことが無いので、見よう見まねの自己流です。Tさんは胸の辺りから下の感覚が麻痺していたで、私は胸を使ってなでつけるように動いてみました。

「あすかちゃん、上手いね。気持ちいいよ」

「いえ、ソープで働いたことないので、自己流ですよ」

「胸が当たるのが気持ちいいよ。いい胸だね。柔らかいし、真っ白な胸だ」

私の胸をさわりながら、気持ち良さそうな表情を浮かべていました。

「こうやって抱き合っているだけでも気持ちいいんだよね」

そう言って、たくましい腕でギュッと抱きしめられました。唇が近づいて来て、濃厚なディープキス。

「ふー! 満足した!! シャワー浴びて、ローション洗い流そう」

射精はありませんでした。射精できないお客様の満足は、私にはタイミングがどこなのか分かりませんでしたが、受けているプレイに飽きたから「次に行きたい!」って感じかなー、とは思っていました。

シャワーの温度が適温になったところで、ローションを洗い流しました。ローションで、ソープマットもヌルヌルしています。

「車椅子取って来ましょうか? このマット、ヌルヌルしちゃってますから」

「そうだね、お願いする」

車椅子にバスタオルを敷いて浴室に運ぶと、Tさんは車椅子に移ってドアの段差を乗越えてベッドの上に。私もバスタオルで体をふいて移動しました。ベッドの上で雑談タイム。フェチのストライクゾーンど真ん中だったので、脊損頸損フェチをカミングアウトしてみました。

すると、Tさんがニコニコしながら話します。

「実はさ、そういうフェチの人っていると思ってたんだよね。フェチズムなんて、手袋とかにだってあるでしょ? その延長線上で車椅子好きな人がいるんじゃないかと思っていたんだ。まさかそういう本人に会えるとは思ってみなかったけど。じゃあ、あすかちゃんには天職だね」

「そうですね。脳性麻痺のお客様の方が多いので、脊損頸損のお客様に当たると嬉しいです」

プレイ終了の電話が鳴って、プレイ終了。お互いに着替えて部屋を出て、またお客様の車で待ち合わせ場所まで戻りました。

「今度は食事ごちそうするから、ロングコースにするよ。もっとデートっぽいことしたいしね」

「わー! ありがとうございます」

「今日は刺激的で楽しかったよ」

そう言われて、軽いキスをして、Tさんの車から降りました。

いつもは浴室の段差部分には、バスマットやバスタオルを敷いていたのですが、ソープマットが有効に使えるとは思っていませんでした。他のラブホでも置いていてくれたらいいのになー、と思ったお仕事でした。

それでは、また次回♪

ProfileBacknumber
■ この記事の感想を下のボタンを押して送ってください。
    (24)
    (1)
    (82)