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私はハグ屋さん

お客さんは障害者。そんな専門デリヘルでの経験が豊富な著者が書く、さまざまな男性との出会い

第13回 『初めての遠距離出張【後編】』

こんにちは。桂樹碧です。

障害者専門のデリヘルを呼ぶため、移動距離500km以上もの遠距離出張費を払うこともいとわない、脳性麻痺のお客様(Mさん)との2回目のプレイ。このときもプレイ後、Mさんとラブホに泊まりました。それでは、前回の続きをどうぞ♪

店長にプレイ終了の電話を入れてからは、Mさんは性的行為を絶対に求めませんでした。軽いキスやハグだけ。

二人でベッドに入って、ダラダラとおしゃべり。恋人同士のように、二人とも裸で時折キスしたりしながらくつろいでいました。

「あーちゃん、まだ御主人様や愛人さんとは続いているの?」

「続いていますよー。それとは別に健常者の男性と同棲しています」

「すごいなぁ。同棲相手って彼氏ってことだよね。こういう仕事しているのは知っているわけ?」

「もちろん。友人の紹介で知り合ったんですけど、縛りの上手い人で、最初はSMデートクラブのノリでお金ふんだくってやる! と思っていたんですけど、恋愛感情が高まってしまって……」

「あーちゃんの好みのタイプだったんだ」

「そうですねー。私が惚れちゃったんですよね」

などと、前の接客から4ヵ月の間にあったことを話したりしました。ほかのお客さんはどんな感じの人が多いの? どういうプレイしている? などと、Mさんはいろいろ質問攻め。ほかの障害者の人が、どうやって快楽を得ているのか知りたかったのでしょうね。

そのうち、長距離移動でちょっと疲れていた私は、先に眠りにつきました。

ドサッ!

ベッドからMさんが転落した音で目が覚めました。

「Mちゃん! 大丈夫?!」

「……ちょっと痙攣発作。バッグの中に薬が入っているから、取り出して……薬飲むから水……」

あわててバッグの中を見ると、ピルケースがあったので水と一緒に渡しました。

「悪いけどお風呂にお湯入れて」

急いで風呂場へ行って、全開でお湯を溜めます。床に倒れたままのMさんは脂汗……。無理にベッドに戻すこともできずに、歯を食いしばって痙攣発作に苦しむMさんの顔や体の汗を、バスタオルでぬぐうことしかできませんでした。

「ちくしょう! 女の前で発作起こすなんて!!」

苦しそうにMさんがつぶやきました。障害者であることを突きつけられて、男としてのプライドが傷ついたように聞こえました。

「Mちゃん、私ができること何かある?」

「薬が効いてきたら、お風呂に入るから、そのときに手伝って」

私は自分の無力さを痛感させられました。多分、Mさんがいちばん見せたくないであろう姿を見てしまったこと。とりあえず、ベッドから布団をはぎ取り、Mさんに掛けてあげました。

そしてそのまま、だいたい30分たった頃だったと思います。

「薬効いてきた。お風呂場まで這って行く」

そう言うとMさんはお風呂場の方へ。私もあわてて車椅子をお風呂場に入れました。

「あーちゃん、ちょっと体支えて」

Mさんが床から浴槽の縁に座れるように手助けし、そのまま温かいお湯の中へ入りました。

「ふー。あーちゃんにみっともないとこ見せちゃったな」

「そんなことないよ。私こそ役立たずでごめんね」

「あーちゃんのこと好きだよ」

お風呂の中で抱きしめられました。ギュッと力強く。私もギュッと抱きしめました。

まさに障害者専門デリヘルならでは、と言ってもオーバーではないアクシデントをなんとか乗り越え、2回目の遠距離出張は終了。

Mさんにはこの後も何回か指名を受けて、出張しました。アクシデントがあったことで、より深くMさんを感じることができて、お互い気楽にプレイを楽しめる仲に。

私も少し恋愛感情を持ってしまったので、デリヘル嬢としては失格かもしれません。ほかのお客様とは違って、障害をまるごと受け止めることができた、という気持ちでした。

それではまた次回♪

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