
- 風俗百物語 VOL.25
- あの子を守っていた霊は……
- 東京都 あんず 24歳
- 数年前に在籍していたソープで、仲良くしてたAちゃんの話です。Aちゃんはお店の中でも売れてるほうで、あまり待機室にはいなかったんですが、まだ新人だった私が待機室でポツンとしていると、話しかけてくれたのが仲良くなるきっかけでした。
実は私も、初めてAちゃんを見たときから「波長が合いそうだな」と思っていたんです。すぐに打ち解けた私たちは、お店ではほかの子の耳があるのであまり親しげに話したりはしませんでしたが、よくメールしました。
この、ほかの子には秘密という感じが、仲が良くなるスピードを加速させたのかもしれません。私もAちゃんも借金が原因でソープに落ちたんですが、Aちゃんの場合は親の借金で、私のなんか足元にも及ばない額でした。
私はAちゃんに、「親の借金は払わなくていいらしいよ」と話したことがあるのですが、何か事情があるようで、Aちゃんは「絶対に返したいんだ」とかたくなでした。
ある日、私は体に違和感をおぼえ、婦人科に行くと性病でした。そんなの初めてで、不安になった私はAちゃんにメールしました。するとAちゃんは、「店長には私から言っておいてあげるから安静にしてなよ」と返信をくれました。
そしてその日の夜、Aちゃんは私のアパートにお見舞いに来てくれました。私がソープで働き始めて、部屋に誰かを入れるのはAちゃんが初めてでした。私は、性病で気は重かったけど体調事態は悪くなかったので、Aちゃんと楽しい時間をすごしました。
性病の話になると、Aちゃんはあっけらかんとした表情で言いました。
「私、もう何年もソープやってるけどひとつも病気したことないんだよ。だからまわりの子が病気にかかるのがいつも不思議で」
私は心の中で「うん、そうだろうね」と思いました。で、少し意地悪したくなってAちゃんに言いました。
「ねえ、Aちゃんは霊の存在を信じる?」
するとAちゃんは、「分かるよ、○○ちゃんも感じるんでしょ?」と答えました。私がビックリして絶句していると、Aちゃんは言葉を続けて、「でもアイツはここには入って来れない」と、私の部屋のカーテンを少し開けて外を見ました。
私はなんのことだか理解できずにAちゃんが少し開けたカーテンの隙間から外を見ると、アパートの塀の外に男が立っていたのです。私はビックリして、小さく悲鳴をあげました。
Aちゃんはそんな私の肩を抱き、「大丈夫、アイツは私の客の生き霊だから。他人に危害は加えないよ」と言いました。確かに、よく見ると外の男は霊でした。
そうです、私は霊が見えるのです。そして、まさかAちゃんも霊が見える体質だったとは……。初めて会ったとき、波長が合うと思ったのはこのためでした。
でもAちゃんには、私には見えているもう一人の霊の姿が見えていないようでした。そのもう一人とは、Aちゃんの後ろに立つ暗い顔をした40代くらいの男性の霊。多分、彼女のお父さんです。
Aちゃんは、亡くなったお父さんの借金を払っていて、そのお父さんは娘を守っているのでしょう、いつも彼女の後ろに暗い顔をして立ち続けていました。
その後、私は性病が怖くていったんお店を辞め、デリなどを転々として今はまたソープにいます。お店を辞めてからAちゃんとのやり取りは減り、徐々にどちらからともなく連絡しなくなりました。
でも先日、私の夢にAちゃんのお父さんが出てきました。あいかわらず暗い顔で、彼が私に一礼したところで私は目覚めました。
もしかしてお父さん、成仏したの? ということはAちゃん、借金返し終わったのかな……。久しぶりにメールすると、そのメアドはもう使われてないみたいでした。
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- らぶぼにーた編集部
Aちゃんの返済が終わったことを祈ります! 体験談が掲載された、あんずさんには商品券を贈ります。みなさんも、心霊体験などコワい話、教えてください!
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