風俗百物語           誰にもいえない、みんなに言いたい、ウソのような本当の話! え、うそ? そんな話は信じられない? でも信じてほしい、聞いてよ、聞いてよ! 私の内緒話。見知らぬ人にだけ伝えたい話がある。本当にあった私だけのとびっきりメモリー。

風俗百物語 VOL.11
心霊体験! 向こう側からこの世を眺める人たち

  
私は、ある歓楽街のホテヘルで働いています。みなさんの実家の近所や、お父さんやお母さんがしていた噂話で、「なぜかあの家には不幸が続くよね」みたいな家族や家系がありませんでしたか?

私の家族がまさにそれで、まあよくあるバブル崩壊からの一家離散を機に、事故や病気で立て続けに……。私は幼い頃に親戚に預けられ、なんとなく自分の居場所を見つけられないまま、いままで生きてきました。

小さい頃、私はお人形さんでよく遊んでいました。1人で人形を相手におままごと。記憶はさだかでないのですが、私は人形と話ができていたように思います。そして多分、人形以外の声を聞いたり、この世にはすでにいない人の姿を見ることができた。

親戚が言うには、私は1人遊びが上手で、いつも人形や目の前にいる誰かを相手にするように遊んでいたそうです。ときどきコップに水をくんでは、「ハイどうぞ」とベランダに持っていったり、ちょっと不気味な行動もとっていたとか。

子供の妄想が生んだ記憶なのかもしれませんが、確かに人形はセリフというか、何かしゃべって、ままごとが楽しかったような気がするし、私が子供の頃は、親戚の家にはやけに来客が多くて、いろんな人にかわいがってもらったような気がするんですよね。

でもそれを親戚に話しても、人形との1人遊びは得意だったと言いますが、うちはそんなにいろんな人が来る家じゃなかったよ、と首をひねられます。私の記憶違いなのかな〜、と思っていたんですが……。

先日、やっぱり私は子供の頃、ちょっとした霊能力みたいなものを持ってたんじゃないか、と思わせる出来事を体験しました。私は、お店に電車で通っていて、終電には帰れるようにしています。

その日も帰宅しようと駅に着くと、いつもの終電前とは違ってやけに人が多かった。どうやら、私が使っている路線でおきた人身事故の影響で、電車が遅れていて、帰宅しようとする人がホームにドンドンたまっていたのです。

イライラした顔で携帯をいじる人、駅の職員にいつになったら電車が来るんだとケンカ腰な人、電車が来たら少しでも早く乗ろうと、ちゃんと並んで待っている人の列を無視する人など、ホームは何か“負”のパワーで満たされていました。

駅職員の、隣の駅まで電車が来ている、黄色い線より後ろに下がってくださいというアナウンスがあるのに、ホームにいる人たちはそれを無視。そんなときです。線路の向こうに、人が立っているのを見たのは。

それも1人ではなく、何人も何人も。彼や彼女は暗い顔をして、負のパワーでいっぱいなこちらを見ているような見てないような……。私はすぐに幽霊だと思いましたが、そちらよりも次の瞬間に視界に入った、ホームから線路に転落したオジサンにビックリしました。

パッと見、あふれかえったホームの人に押されるように線路に落ちたようでしたが、実はオジサンの足は、たくさんのたくさんのたくさんの、手に引っ張られていたのです。近くまで来ていた電車は、駅に入る一歩手前で急停車。

また電車が、少し遅れることとなったのでした。それからは、再び幽霊を見ることはまだありませんが、多分あのときは、ホームに満たされた人間の負のパワーが、あの世の人たちに影響し、私に姿を見せ、さらにオジサンを線路に引き込んだのだと思います。

私は今もほぼ毎日、その駅のホームを使っています。あまり、線路側には立たないようにしてますが……。
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