風俗百物語           誰にもいえない、みんなに言いたい、ウソのような本当の話! え、うそ? そんな話は信じられない? でも信じてほしい、聞いてよ、聞いてよ! 私の内緒話。見知らぬ人にだけ伝えたい話がある。本当にあった私だけのとびっきりメモリー。

風俗百物語 VOL.7
錆び付いたネックレスが物語る、客と風俗嬢の悲恋話

東京都 ゆき 23歳
以前、私が店泊した時の話です。
その日はラストまで働いて、翌日も早い時間からだったので、店泊したんですけど、うちの店はぼろっちいから気が進みませんでした。私は霊とかあまり信じてないんで、怖くは無かったんですけど、居心地も悪いし嫌だなーと思いながら、電気を煌々とつけてベッドに横たわっていました。
目を閉じてからしばらく経ってなんですけど、女の子の笑い声が聞こえてきたんですね。しかも、誰かと会話をしているような感じで。うとうとしていた私は、誰かが部屋で騒いでいるのかと思って(そんな事はありえないんですけど)、「うるさいなー」と思いながら無視を決め込んで固く目を閉じました。
まだしばらく笑い声は続いていましたが、ようやっと眠れそうになった瞬間、ピタッと笑い声が止まり、お店の中は静まり返りました。今度は逆に、あれだけ大騒ぎしていたのに何だろう、と気になって、また寝付けなくなりました。目が冴えてしまったので、起きてドリンクでも飲もうと部屋を出ようとすると、今度は突然、廊下から笑い声が聞こえてきたんです。
「うふふふふ。今日は楽しかった。○○さんといると、時間がすぎるのがあっという間だよー。次はいつ来てくれる?……うん。絶対に約束だよ!待ってるからね!」
詳しくは聞こえませんでしたが、そんな内容でした。まるで、というか、絶対にお客さんを送り出す時の会話です。時間的にも誰かが接客しているという事もありえなかったので、私は気持ち悪くなって部屋から出るのをやめ、布団の中に潜り込みました。ここまできたら“霊を信じない”なんて言えません。お店の中を静寂が覆う中、私は頭から掛け布団をかぶって、震えていました。
「早く朝になって!」と心の中で叫び、私はきつく目を閉じていました。すると、私の足下でズズズと鼻をすするような声が聞こえ、私の心臓は凍り付きました。私は聞かなかった事にして、意識を睡眠に集中させたのです。
ズズズ……ズズズ……ズズズ……グスッ……グスッ……
断続的に続く音に私の思考回路はパニックになりましたが、一つだけ分かる事がありました。……私の足下で誰かが泣いている。
歯をキツく噛んで、漏れ出そうになる悲鳴を押さえていると、鳴き声が止まり、今度は足下から女の人が話す声が聞こえてきたのです。
「なんで?……なんでなの?」
私は半泣きで「え?え?」と言っていると、私の足下の掛け布団が盛り上がり、私の上半身と掛け布団の隙間から、暗い目がこっちを覗いていました。
「なんで?なんで?私は……信じてたのに……。なんで……裏切ったの?」
「裏切ってない!裏切ってない!」
私はパニック状態で叫んでいました。
「あなたの言葉を、ずっと信じてたのに!」
強めの語気で女の声が部屋に響くと、グワッと掛け布団がめくれあがり、私は気を失いました。
翌朝、起きると部屋は何事もありませんでした。昨夜の事は鮮明に覚えていましたが、私は無理矢理夢だと思いこむ事にしました。恐る恐る部屋から出ると、何事も無かったかのようにボーイさんが廊下を歩いていました。
私はほっとして「おはようございます」とボーイさんに声をかけると、彼はギョッとしながら私を見て言いました。
「何?その首」
私は近くにあった鏡で自分の首を確認すると、そこには何者かの手で締められたあとがクッキリと残っていて、錆び付いた年代物のネックレスがぶらさがっていました。
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