風俗百物語           誰にもいえない、みんなに言いたい、ウソのような本当の話! え、うそ? そんな話は信じられない? でも信じてほしい、聞いてよ、聞いてよ! 私の内緒話。見知らぬ人にだけ伝えたい話がある。本当にあった私だけのとびっきりメモリー。

風俗百物語 VOL.5
開かずの2号室にかけられた1枚の絵

東京都 りか 21歳
以前、私が働いていたお店には普段使われていない部屋がありました。1階の廊下の突き当たりにあるその部屋は、冗談抜きでいつでも薄暗く、不気味な感じがして、女の子たちは「開かずの2号室」と呼んでいました。
普段は暇で暇で仕方無かった私の店ですが、ボーナスシーズンとなれば話は別。私も例外無く、かなりの本数をこなしていました。そして、そんなある日。あまりに忙しいもので、今までは密閉されていた開かずの2号室が、とうとう開放される時が来ました。店長は笑いながら「物置に使ってたから、掃除するのが大変だったよ。ちょっとカビ臭いかもしれないけど、我慢して頑張ってね」と話していました。
そこでプレイするのは正直気が進まなかったんですけど、背に腹は代えられません。
私もその部屋でプレイする時が来ました。初めて中に入る2号室は、ひんやりとしていて、薄暗かったです。そして、ちょっと気持ち悪いなー、と思いつつも2号室で初接客になりました。
最初のお客さんは、いつも私を指名してくれていた方で、初めから会話は盛り上がり、いつもと同じでした。しかし、異変は唐突に起こりました。お風呂に入っていたお客様が、急に不調を訴え始めたのです。
「なんか、調子悪くなってきちゃった。昨日の酒が残ってるのかな?」
そのお客様はしきりに首をかしげ、顔色がドンドン青白くなっていきました。
その様子があまりにもおかしかったので、私も心配になって、
「大丈夫?何か飲み物作ってこようか?」
と言うと、お客様は弱々しくうなずき、私はお客様を座らせて、ドリンクを作りに部屋を出ました。
数分後、私が部屋に戻ると、お客様の顔色はただならぬ事になっていました。
「大丈夫?調子悪い?」
私が問いかけると、お客様は言いました。
「ねえ?この部屋の隣に、部屋ってあったっけ?」
2号室の隣に部屋はありません。話を聞くと、私が部屋を出ている間、壁の向こうから「グエッ、グエッ」という、空嘔(からえずき)のような声がずーっと聞こえてきたそうです。結局、そのお客様はその日一回もしないで、ふらふらとした足取りで、帰って行きました。
その後、私は2号室を使う事も無く、ボーナスシーズンは終わりました。

すっかり2号室での出来事など忘れていた私は、あるお客様に興味深い話を聞きました。
そのお客様は、ツアーコンダクターとして日本全国を回っている方で、当然ホテルもかなり利用しています。そのお客様がホテルの部屋に入ってからまずする事は、部屋にかけられた絵のチェックだそうです。
「部屋に絵がかざってあったら、俺はまず裏を見るんだ。裏にお守りとかお札が貼ってある部屋はまずダメ。即刻部屋を変えてもらう。絵の裏に貼ってある、お守りとかお札は、その部屋で良く無い事があった証拠だから」
私はふむふむとうなずきながら、はっと気付きました。
そう言えば、開かずの2号室には、絵が飾ってあった!
その日の帰り際、私はこっそりと2号室に向かい、ドアノブを握りました。ドアに鍵はかかってなく、簡単に開きました。中には乱雑に荷物が積まれていて、それをかき分けて進むと、壁に外国の街を描いた1枚の絵がかけられていました。
「まさかね」
そう思いながら私はゆっくりと壁の絵をズラし、その裏を覗き込むとそこには、数えきれないぐらいのお守りとお札がギッチリと貼付けられていたのです。
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