バックナンバー

私はハグ屋さん

お客さんは障害者。そんな専門デリヘルでの経験が豊富な著者が書く、さまざまな男性との出会い

第37回 『性と福祉』

こんにちは。桂樹碧です。日が落ちるのが早くなってきました。朝晩は少し肌寒いくらいですね。

その日のお仕事のお客様は、重度の脳性麻痺で言語障害もありました。プレイ場所は、都内近郊のラブホテル。一度仕事で使ったことがあるホテルだったのと、店長はほかの子の送迎があったので、私一人で行くことになりました。

荷物の中に、イソジン・洗浄綿・コンドームの三点セットを入れて出発。

目的のラブホテルに着くと、介護タクシー(車椅子のまま乗れるように改造した車)が停まっていて、ちょうど中からスロープを出して降りようとしていたところでした。

「あの、M様ですか? ○○(お店の名前)のあけみです」

「そ、そ、そうです。き、きょうは、よ、よろしく」

「こちらこそ、よろしくお願いします」

介護タクシーの運転手さんと、お客様のヘルパーらしき人にもご挨拶して、ホテルに入りました。フロントで部屋を決めて、いざ部屋へ。しかし、お決まりのようにドアを開けた部分に段差があります。お客様の車椅子は電動車椅子なので、重くて段差を越えるのは無理……。

「どうしましょう?」

「く、車椅子はこのこのまま、ろ、ろう、廊下に置いて、ぼ、僕を、お、おんぶして、く、ください。あ、あとでいいので、く、車椅子の後ろの、りゅ、リュックを取ってください」

「分かりました。それなら先に荷物をお部屋に入れてしまいますね」

自分の荷物と、お客様の車椅子の後ろに引っ掛けられていたリュックを、ベッドの上に置きました。

「じゃ、行きますよ」

よいしょ!っとお客様をおんぶして、部屋の中へ。脳性麻痺の人は、痩せている傾向があります。理由は障害で筋肉が緊張することが多いから、と別のお客様に聞いたことがあります。筋肉の緊張って意外とエネルギーを消費するので、太れないそうです。

お客様も痩せ型で、私一人でもおんぶできました。ベッドまでなんとかたどりつき、お客様をベッドの上へ。部屋のドアを閉めて、店長にプレイ開始の連絡。お客様は一人で着脱ができないので、着脱介助した後に私だけザッとシャワーを浴びました。

「今日はどんなふうにしますか?」

全裸でベッドの上に横たわっているお客様に聞きました。

「き、キス。フェ、フェラ。あ、あそこも見たい」

「分かりました。それではキスからはじめますね」

ぎゅーっとお客様をハグしてキス。そこからは69、フェラと、いつものような流れでプレイ。その後はお客様と雑談タイムへ。

「こ、この前、ここの、お、お店で遊んだ、と、ときなんだけど」

「何か問題がありましたか?」

「う、うん。デリで、遊んだの、へ、ヘルパーさんに、は、話したら、こ、こ、今度、ふ、風俗で、あ、遊んだら、う、うちの、へ、ヘルパーから、外れる、って、い、言われて」

障害者には性欲は無い、聖人君主のような存在だ、と思っている人も多いですが、多くの障害者の人たちは、沸き上がる性欲を自分では処理できずに困っています。特に手に障害がある場合は、一人でオナニーすることもできません。施設ではこっそりと、入浴の時に同性の職員に抜いてもらったりしている人もいます。

有料のボランティアでオナニー介助をする団体もあるのですが、風俗的な遊びではなく、オナホールを使ったサービスで、同性での介助になる場合もあるそうです。最近は障害者対応のお店も、少しづつ増えているようですが、やはり重度の方になると難しいのが現状です。

女性を抱きたい、性欲を解消したい! と思ったら、障害者専門デリヘルを使うのが、一番楽なことになります。ただ、お金はかかってしまいますけど。

「今日のヘルパーさんは大丈夫なんですか?」

「う、うん。か、か、彼は、り、理解している。か、介護記録も、い、家に、いたことに、して、してくれる」

「それなら良かったです」

「じょ、女性の、へ、ヘルパーさんは、り、理解して、くれる人少ない」

「自分で言うのもなんですけど、女性って風俗に偏見がありますからね。私も働くまでは、ちょっと偏見がありました」

「い、今は、へ、へ、偏見ない?」

「はい。仕事として誇りをもってやっています」

そんな会話をしていると、店長から終了のコールが鳴り、プレイ終了。お客様の着脱介助をして、部屋の外に置いた車椅子までおんぶしました。ホテルを出て、お客様が介護タクシーに乗ったのを見届けて、私も帰途につきました。

在宅ヘルパーには女性が多いです。風俗に対して嫌悪感を抱く人も少なくありません。また、反対に女性が介護することで、セクハラ行為におよぶ障害者の人もいます。

ヘルパーの報酬はいろいろですが、在宅だと時給に換算して800円〜900円あたりが相場。施設勤務でも、月給が20万に届かない人も少なくないようです。報酬と仕事のバランスはハッキリ言って悪くて、低賃金すぎると思います。

現状の福祉で、性の問題はとても根深い物だと思います。このお仕事では、そういったことを強く考えさせられました。

それではまた次回♪

ProfileBacknumber
■ この記事の感想を下のボタンを押して送ってください。
    (29)
    (3)
    (32)